34、独歩の焦り、乱歩の決意 ページ35
××
時間が進むにつれ容態が悪化していく福沢社長を探偵社の医務室から病院まで移し、私達も病院まで移動していた。
与謝野先輩は福沢社長の検査に、谷崎先輩と国木田先輩は福沢社長の病室の前にいるはずだ。その一方で、私は中島先輩と共に病室の中から周囲に異変が無いかを確認していた。何しろ、つい
「太宰さんも……大丈夫かな……」
隣にいた中島先輩がぽつりと呟く。
そう、太宰先輩は意識不明の重体で別の病院に搬送されたばかりなのだ。
「大丈夫ですよ、入水しても、腹を刺されても、死ななかった太宰先輩が銃で撃たれたからといって……死ぬはずがありません。あのひと、かなり
「……うん、そうだよね……！太宰さんならきっと、だいじょ───」
中島先輩の言葉は、そこで止まった。
彼は愕然と目を見開き、窓の外を見つめている。私もすぐに彼の視線を辿り、そして思わず息を呑んだ。
外にいたのは───大量の黒服の男性達だった。
人数を数えることもできないくらいの大人数で病院を取り囲んでいる。恐らく、裏口や正門も既に固められてしまっているだろう。
「た、大変だ……く、国木田さんたちに知らせないと……！」
「はい……！」
私達は同時に病院の廊下を走り出す。
早く。一刻も早く国木田先輩たちにこの事態を伝えなければ。
◆
「大変です！マフィアに建物を包囲されています！」
国木田先輩たちがいるフロアへ駆け込み、事態を伝える。もう嗅ぎ付けたのか、と国木田先輩は唇を噛んだ。
「流石に奇襲と殺しの本職だねェ……こっちはどうする？」
与謝野先輩の問いに、国木田先輩は答えない。
理想と掲げられた手帖を悔しそうに見つめるだけだった。その瞳には焦りや葛藤が滲んでいて───
「焦るな、国木田」
入ってきたのは、乱歩先輩だった。
いつになく鋭い光を宿すその眼差しが国木田先輩を射抜く。
「社長にしっかりしろって云われた」
その一言で、はっとしたように国木田先輩が顔を上げた。「意識が戻ったのかい？」と与謝野先輩が問いかける。ゆっくりと、そして悔しそうに乱歩先輩は首を横に振った。
「いいや。でも聞こえたんだ」
───指示を出せ、社長代理。
「必要な情報は僕が凡て読み切ってやる」
**
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柊あんず(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» こちらの方にもコメントありがとうございます！目……目、大丈夫ですか！？ムスカ大佐！？((( (2020年1月25日 21時) (
レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 目ッ…目がァァ……！！！← (2020年1月25日 20時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 果汁ジノ％さん» 国木田さんがいたのはアニメですね！確認しましたがやっぱり原作のパーティーに国木田さんはいなかったのでもう既にあの時には捕まっていたんだと思います！よってこれは伏線ではありません……(笑) (2020年1月25日 19時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
果汁ジノ％(プロフ) - 原作では国木田さんもパーティーに出ていたような…まさか、逮捕の時期が早まったのも伏線なのか…！？ (2020年1月25日 19時) (レス) id: 119f59d457 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - ひいやさん» コメントありがとうございます〜！33話の伏線、そして腕の件は四部でちゃんと回収するのでご安心ください〜！「緑の灯」についてはフィッツジェラルド様の著者「グレート・ギャツビー」からの引用になるので、完全に史実ネタですね！ (2020年1月25日 11時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
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