24、また逢う日まで、暫しの別れを ページ25
××
「はは、良かった。覚えていてくれてた」
ジョン先輩は嬉しそうに此方へ歩み寄って来る。
ルーシー少女やエドガー先生もそうだが、意外と組合の方々は未だヨコハマに残っている方が多いらしい。
「……忘れられたら、どうしようかと思った」
「忘れるなんて……ちゃあんと覚えてますよ」
「はは、良かった。……君は変わってなさそうで、良かった」
ジョン先輩は嬉しそうに微笑み、私を見下ろすと不意に思い出したように手首を出した。彼の手首には私が失くしたと思っていた───鈴のアンクレットがつけられていた。
「これ、返すの忘れていたからさ。君に」
「ああえっと……それは、もう、私にはいりません」
「良いのかい？大切な物だったんじゃないの？」
「はい。でも、それは、もらってください。
よければ、ですが。あの、はなむけとして」
「……旅に出るわけじゃないんだけれどね。
うん、でも、もらっておくよ。君だと思って大切にする」
「そ、そんな大層な物では……」
ないのだが。
しかし、ジョン先輩が大切にしてくれると云うのだから、私としても嬉しい。彼は満足そうに頷くと「じゃあ、僕はこれで。色々と忙しくて」と微笑んだ。
「……また、会おうね」
「え？あ、はい、」
彼は一歩前に足を踏み出す。
「……えっ……！？」
「……あ、ごめん。つい、妹達への癖で……日本ではこういうことはしないんだっけ？」
「ちょ、ちょッとナオミ……ダメだよ、こんなトコで」
「あら、兄様。ではお家に帰ったら良いんですの?」
しない、と即答したいところだったが、谷崎兄妹のスキンシップを思い出し、強めに否定出来なくなった。あの二人に比べたら、兄妹で額に接吻なんてとても可愛い行為だ。
「……で、でも！こういうのを好きでもない女性にするのは、良くないかと。�犂�違い�瓩靴討靴泙κ�もいると思います」
「ごめんごめん。君と家族以外にはやらないよ」
「それなら良いんですけれど……え？」
サラリと落とされたような気のする爆弾発言に首を傾げるが、ジョン先輩は既にいなくなっていた。暫くそのまま呆けていたが、やがて自分のすべき事を思い出す。
「……私も早く行かなきゃ！」
「……勘違い、してくれても良いんだけれどね」
25、云わぬが花、秘するも花→←23、食べ歩きは美味しさ二倍
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊あんず(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» こちらの方にもコメントありがとうございます！目……目、大丈夫ですか！？ムスカ大佐！？((( (2020年1月25日 21時) (
レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 目ッ…目がァァ……！！！← (2020年1月25日 20時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 果汁ジノ％さん» 国木田さんがいたのはアニメですね！確認しましたがやっぱり原作のパーティーに国木田さんはいなかったのでもう既にあの時には捕まっていたんだと思います！よってこれは伏線ではありません……(笑) (2020年1月25日 19時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
果汁ジノ％(プロフ) - 原作では国木田さんもパーティーに出ていたような…まさか、逮捕の時期が早まったのも伏線なのか…！？ (2020年1月25日 19時) (レス) id: 119f59d457 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - ひいやさん» コメントありがとうございます〜！33話の伏線、そして腕の件は四部でちゃんと回収するのでご安心ください〜！「緑の灯」についてはフィッツジェラルド様の著者「グレート・ギャツビー」からの引用になるので、完全に史実ネタですね！ (2020年1月25日 11時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
