21、その痛みは無かったことに ページ22
××
「Aちゃん！今日のお昼、何食べましょうか？」
結局、誰にも相談出来ないまま、お昼が過ぎた。
腕には包帯を巻いて、カーディガンを着て、厳重に隠すことでなんとか今日一日はやり過ごせそうだ。乱歩先輩が事件現場に出向いている為、探偵社にいなかったのも幸いだろう。
ナオミ少女がうきうきと楽しそうな様子で探偵社の階段を駆け降りて、こちらを振り返る。昨日のことがあったから、なんとなくうずまきに行くのは気まずいな、なんて思いつつナオミ少女の後を追った。
「私は今日はオムライスが食べたいです。ナオミ少女は？」
「今日はナポリタンにしますわ！ふふ、久々にAちゃんとランチ……楽しみですわ。女子会ですわね！何か悩みごととかあったら、仰ってくださいね」
「……っ、えぇ、はい。でも、私に悩みごとなんてありませんよ」
あぁ、ナオミ少女は矢張り鋭い。
私は無意識に腕を後ろに向けながら、「ナオミ少女こそ悩み事があったら私に仰ってくださいね」とうずまきに入った。
「いらっしゃいませ」
うずまきに入店すると、昨日の赤毛の少女が笑顔を貼り付けてオーダー表を持っていた。新顔に早速興味を持ったのか、ナオミ少女が手を上げた。
「貴女、新人さんですわね！お名前は？」
そういえば私もまだ、彼女の名前を知らなかった。
まあ、昨日は名前を聞ける雰囲気ではなかったし……
「あ、あたしはルーシー・モンゴメリ……貴女たちは？」
「谷崎ナオミです。宜しくお願いしますわ！」
「あ、私は七竈Aと申します……！」
「……おや、アンタたち、意外と歳が近いんじゃない？」
ふふ、若いって良いねぇ、と会話に入ってきたのはマスターの奥様でもあり、ルーシーさんと同じくこのお店で働くおばちゃんだった。おばちゃんはいつもの快活な笑顔を浮かべて私達三人の顔を交互に見ている。
「そうだ！モンゴメリちゃんさ、丁度昼休憩に入るわけだし、少しお話してみたらどうだい？」
「ナオミも大歓迎ですわ！」
「えぇ！？で、でも、あたし……前、貴女に、」
良いから良いから、とおばちゃんに背中を押され、ルーシーさんはテーブル席まで座らされる。二人の姿はどこか仲睦まじい母娘のようにも見えて、少し羨ましい。
「おばちゃん、オムライスとナポリタンを！ルーシーさんは何か食べますか？」
「ええっと……じゃあ、あたしはサンドイッチで」
「はいよー」
オーダーを取ったおばちゃんは颯爽と厨房へ戻って行った。
**
22、ラブコメの波動を感じる→←20、腹が減っては戦は出来ぬ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊あんず(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» こちらの方にもコメントありがとうございます！目……目、大丈夫ですか！？ムスカ大佐！？((( (2020年1月25日 21時) (
レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 目ッ…目がァァ……！！！← (2020年1月25日 20時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 果汁ジノ％さん» 国木田さんがいたのはアニメですね！確認しましたがやっぱり原作のパーティーに国木田さんはいなかったのでもう既にあの時には捕まっていたんだと思います！よってこれは伏線ではありません……(笑) (2020年1月25日 19時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
果汁ジノ％(プロフ) - 原作では国木田さんもパーティーに出ていたような…まさか、逮捕の時期が早まったのも伏線なのか…！？ (2020年1月25日 19時) (レス) id: 119f59d457 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - ひいやさん» コメントありがとうございます〜！33話の伏線、そして腕の件は四部でちゃんと回収するのでご安心ください〜！「緑の灯」についてはフィッツジェラルド様の著者「グレート・ギャツビー」からの引用になるので、完全に史実ネタですね！ (2020年1月25日 11時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
