16、ゆるすも、ゆるさないも ページ16
××
「A、よくやった！！」
探偵社に帰ると、真っ先に国木田さんがやって来た。
今朝と全く同じ光景に内心苦笑しながら「私、ちゃんと仕事しましたよ！」と胸を張って笑って見せる。
「あぁ。向こうもAを気に入ったらしい。
今後は調査書類はすべてAに持ってきてほしいと。手柄だぞ」
普段誰よりも厳しい上司に褒められたからだろうか、気分はすっかり絶好調になっていた。天にも昇れそうだ。
「この調子で今後も精進しろ」
まるで担任の先生が教え子に接するような口振りを可笑しく思いながら、私は全力で頷いた。
***
夜、六時。
探偵社での仕事を終わらせた私はアパートに戻り、夕食の準備をしていた。とはいえ、冷蔵庫や食器棚、なんて生活の必需品はまだまだ揃っていないのでとりあえず暫くは商店街で買ったお惣菜やお弁当を食べることにする。
「いただきま───」
───ピンポーン
インターホンが鳴り、ゆっくりと箸を置く。
一体誰だろうか、こんな時間に。食事の邪魔をされたことに多少苛立ちながら玄関の扉を開けた。
「Aちゃん……」
「中島先輩……？」
中島先輩が、何故か半泣きで立っていた。
その表情があまりに痛々しいものだったから黙って彼を部屋に招き入れる。
「すみません、引っ越して来たばかりで殺風景な部屋で……」
「ううん、全然大丈夫。……ごめんね、突然押し掛けて来ちゃって……あ、此処の住所は太宰さんに聞いたんだ」
中島先輩は申し訳なさそうに目尻を下げて、そのまま項垂れた。私はそっと中島先輩の頭を撫でる。いい子、いい子。中島先輩は少し安心したように目を閉じて、ゆっくりと語り出した。
時々言葉を詰まらせながら、中島先輩は教えてくれた。孤児院の院長が交通事故で亡くなったこと、そして孤児院時代に院長に受けた仕打ちを。
「……正直に云うと、最初は死んでくれて清々した。……第二の誕生日にしたいくらいには。だって、僕はずっと、ずっと院長の悪夢に魘されていたんだ……！ねぇ……Aちゃん、君は、君のお母さんのこと、ゆるせる？」
嘗て、中島先輩に母についてを話したことがある。その時、私は「母を許さないことだけが私の純情だ」と返したのだ。しかし、許せる許せないのとは不思議なもので、あるときはまだ許せないなと思うし、またあるときは許せてしまうような気もするのだ。
「───ほんのすこぉしだったら」
なんでも、許せてしまう気がする。
**
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柊あんず(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» こちらの方にもコメントありがとうございます！目……目、大丈夫ですか！？ムスカ大佐！？((( (2020年1月25日 21時) (
レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 目ッ…目がァァ……！！！← (2020年1月25日 20時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 果汁ジノ％さん» 国木田さんがいたのはアニメですね！確認しましたがやっぱり原作のパーティーに国木田さんはいなかったのでもう既にあの時には捕まっていたんだと思います！よってこれは伏線ではありません……(笑) (2020年1月25日 19時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
果汁ジノ％(プロフ) - 原作では国木田さんもパーティーに出ていたような…まさか、逮捕の時期が早まったのも伏線なのか…！？ (2020年1月25日 19時) (レス) id: 119f59d457 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - ひいやさん» コメントありがとうございます〜！33話の伏線、そして腕の件は四部でちゃんと回収するのでご安心ください〜！「緑の灯」についてはフィッツジェラルド様の著者「グレート・ギャツビー」からの引用になるので、完全に史実ネタですね！ (2020年1月25日 11時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
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