第十三話 W ページ14
川西 「水田、まだや！」
水田 「うっ…！？」
水田の顔すぐ近くに、さっきまで倒れていた青年の爪が迫っていた。
咄嗟に避けたが、水田は俺を気にしているようで防戦一方だ。
とにかく、このスライムの中から脱出しよう。
３本の矢を一気に引き、射る。
スライムの膜が破れた。
川西 「援護するわ」
水田 「頼む」
敵と戦う水田の後ろに寄り添う。
少し離れた位置で弓を構え、支援の準備をする。
「……」
水田 「……」
爪と盾がぶつかり、火花が散った。
水田は片手に剣、もう片手に盾という攻守のバランスを重視した武器だ。
打ち合いになればかなり強い。
現に敵は少しずつ押し出されている。
「……」
水田 「あ…！賢志郎！」
川西 「おう」
敵の目が赤く光った。
それと同時に敵の手から無数のスライムが飛んでくる。
水田の声を聞き、すぐに矢でスライムを“全て”撃ち落とした。
水田 「さすがや…」
川西 「早よ戦え」
水田 「負けへんからな」
何に負けないつもりなのだろう。
「……」
水田 「くらえ！」
水田の剣が風をまとい、敵の腹を切り裂く。
それと同時に、敵からは血ではなく、スライムが弾けた。
色からして、多分毒入り。
さすがにそのスライムは狙撃できない。
水田にスライムが溶ける。
水田 「…！」
川西 「すまん」
水田 「や、これは射れん」
「……」
毒を大量に浴び、水田は膝をついたが、まだ敵は生きている。
さすがにこれ以上水田が前線で戦うのはキツいだろう。
仕方ない。
俺は弓をしまい、ポケットナイフを握った。
川西 「チェンジや」
水田 「おう」
水田に振り下ろされる敵の爪を、ナイフで受け止める。
その間に水田は下がり、支援の姿勢になった。
敵の猛攻を片手のナイフで受け止める。
空いた手で拳銃を握り、チャンスをうかがった。
「……」
川西 「水田」
水田 「わかった」
至近距離でスライムが飛ばされる。
水田が地面に手を当て、俺の目の前に土の壁を作り出した。
スライムが壁にぶつかった瞬間に、壁ごと敵をナイフで刻む。
「……」
川西 「それは知ってんねん」
傷口からスライムが出ることは、把握済みだ。
崩れた土の壁を風で巻き上げ、盾にする。
その盾を拳銃で撃ち、敵を攻撃した。
川西 「…終わりやな」
弾は敵の顔に当たったようだ。
動かない敵に勝ちを確信し、一息吐く。
その時だった。
川西 「…水田？」
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作者名：フール | 作成日時：2019年1月14日 16時
