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「 泣き虫 」 ( 橙黄 ) ページ15

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( 余命わずかの黄と恋人の橙 )

side: Akito







壁も床もベッドも全て真っ白で無機質なこの部屋も、静かな空間に鳴り響く心電図や酸素の音も、


瘦せ細ったボロボロな身体に幾つもの管を繋いで必死に戦っている、愛する人の変わり果てた姿も






毎日のように目にして、… 全部、慣れたはずやのに。







「 … 」



どうしても、足がすくんでしまって




「 …ぅ、」




病室の入り口のネームプレートは涙でぼやけて、
入り口の取っ手を掴む手は震えて力が入らない。

ドキドキする胸と息苦しさを、深呼吸して落ち着かせてからじゃないと、淳太くんに会えなくなっていた。



今すぐに会いたいのに、一秒も無駄にしたくないのに。







…‥怖い。

淳太くんに会うのが怖い。







淳太くんは痛みとも苦しみとも、ちゃんと向き合って、ひとりで必死に闘ってるというのに。



… ごめんな淳太くん 、弱っちぃ俺で。









「 …よし、」



涙を指で払い、不安は笑顔で隠して
今日も病室のドアを開けた。





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作者名:nem | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年12月20日 20時

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