【過去編】15話 ページ36
影浦サイド
話しかけられる前に気づかなかったのはAが初めてだった。話しかけるときに普通の奴は俺に対してそこそこ強い感情を刺してくる。だが、こいつは全然感情が刺さんなかった。感情が乏しいとも言うのだろうか。だが、そいつの感情はころころ変わっていた。そういう奴はいつも作り笑いを絶やさない。まるで化けの皮をかぶってるのようかのように自分を偽っている。だが、俺の直感がそうではないと言っていた。
「ねえ、あなたが影浦さん？」
「？……そうだが？俺になんかようか？」
そう思っていたのも束の間。彼女は俺の手にいきなり触れて俺の反応を見ていた。なんだこいつ？気持ち悪っ。そう考える余裕があったのも次の瞬間にはなくなってしまった。
「痛っ……？！」
俺はあまりの痛みに声を上げてしまった。だが刺さり方が負の感情でもなかった。こいつは張り詰めているような顔をしていた。なにを感じていたのだろうか。相変わらず、こいつの感情は全然刺さらなかった。ただ、さっきは確実にこれ以上感じる事のない痛みに襲われていた。
「これが、感情受信体質……。」
彼女はそういって俺の顔を見つめた。
「え……ええ……。」
彼女にとっても驚くことだったのだろう。彼女の感情は弱まるばかりで消えそうになってしまっていた。
「ふあっ！……あ……えー……と……あの……。」
彼女はコミュニケーションが取れないのだろうか。感情はほとんど消えてしまった。困惑、その感情だけは読み取れた。
「なるほどなるほど。
さっき、同学年と名乗った国近が他人ごとのようにそう傍観していた。辻はそもそも女子が苦手らしく国近におびえている。さっきの奴はどうなんだという疑問は置いといてなかなか修羅場だった。
「おい。おまえ。」
「ひゃ、ひゃい。」
かすかに感じ取った『怖い』という感情。どんだけこいつは人が苦手なんだろうか。俺には理解できなかった。
「名前なんだ？」
「あ、え……ーと、日野Aです。15歳です。」
15なら俺と同い年だ。口ぶりからして恐らく俺と同級生のほうの15歳だ。同級生とは思えないような顔立ち、声。それに背中まである栗色の髪も幼子のような艶の髪を6つに分けて縦ロールにしていた容姿は妙に子供っぽかった。
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彩華 - スイさん» ありがとうございます。これから高校受験に向けて総合Aがあるので更新ペースが遅くなってしまうかもしれないです。ですが、更新も負けじと頑張ります! (2020年8月24日 15時) (
レス) id: 0e1a2224ca (このIDを非表示/違反報告)
スイ - 続編おめでとうございます！！ (2020年8月23日 21時) (レス) id: c26352c883 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彩華 | 作成日時：2020年8月23日 17時
