心理的副作用の苦悩

【過去編】7話 ページ12

私はその場を後にした。ブースから出ていつもどうり家に帰ろうとすると哲次が来た。まだ私にようがあるのだろうか。

「A。なんでそんなに俺を避けるんだ？」

そういえば最初はなんで荒船を遠ざけていたのだろう。改めて考えてもわからない。変わったのはたしか副作用(サイドエフェクト)が自由に使い始めてからか。

「さあ、もともとこのぐらいだったと思うけど。」

私はそのまま一歩も振り返らずに訓練室に向かった。哲次はそれ以上追ってこなかった。訓練室にはモールモッドを発生させる。モールモッドは私に向かって襲い掛かる。私は『トリガーを使わず副作用(サイドエフェクト)を使ってモールモッドを戦意を無くす』という事をしている。

トリオン兵は人の手によってプログラミングされているため理論上無理なはずだった。でも、何度首を裂かれようが何度死のうが変わらなかった。自分でも何をしているのかわからない。

私は飽きたのか訓練室を出て今度こそ家に帰ろうとした。

「日野。話がある。今いいか？」

「いいですけど……風間さん。」

風間さんだった。私と風間さんはランク戦を一緒にして、ボコすかボコられるかの程度の仲であってプライベートの話をしてことはない。口ぶりからしても、私をさがしている。何か大事な話があるのだろう。

「俺は部隊(チーム)を組む事にした。それでおまえに俺の部隊(チーム)に入ってほしいんだ。」

「風間さんってどんな部隊(チーム)を作るんですか？」

「まだ決定しているわけではないが、今流行しているカメレオンを使った部隊(チーム)にする予定だ。」

私は疑問に思った。カメレオンを使う部隊にするのなら攻撃手(アタッカー)を集めた方がいい。近距離の奇襲に使うから強いカメレオンをどうして私を誘ったのだろう。

「カメレオンを使った攻撃手(アタッカー)ばかりの部隊にする中距離(ミドルレンジ)や長距離(ロングレンジ)が穴になる。長距離(ロングレンジ)は大体狙撃手(スナイパー)だから接近すれば何とかなるが中距離(ミドルレンジ)はそうともいかない。だからお前を勧誘する。」

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