【太宰治】気になるあの子は気まぐれな死神です。【文スト】

［十四］揺るがない想い。 ページ17

『…太宰君は優しいね』





ふと思った事を口に出した。
片付けをしていた彼は驚いて此方を振り向いた。





「如何してそう思うんだい？」





『太宰君は…何の関係も無いボクを助けてくれた。話し掛けてくれた。笑ってくれた。







…こうして大切な誰かと一緒に居る事が少なかったからね…ボクにとっては、凄く嬉しいんだ』





私はそう言って目を伏せた。
過去の辛い思い出が、蘇ってしまうのを防ぐ様に。




「…」




次の瞬間、









太宰君に手を握られていた。







『！？だ、太宰君…！？///』



「Aちゃん。…マフィアには沢山の、様々な人々が居る。






そして、仕事内容も簡単なモノから、遣るのが苦痛なモノまである。







もしそれらの所為で、傷付いたり、悲しんだり、誰かに嫌われたり、妬まれたり、疎まれたとしても…









私は君の側に居る









…これだけは、決して揺るがない」






『太宰、君…』







「何があっても君は君だ。私はずっと…君の味方だよ」






太宰君の瞳は真剣そのものだった。






『…うん、有難う。ボクも精一杯頑張るよ。
何時しか…太宰君に釣り合える様に、ね』






そう言ってニヤッと笑ってみせる。





太宰君は一瞬だけ目を見開き、そして柔らかい笑みを浮かべた。





「うん。…それでこそ、Aちゃんだよ。








…あっ、そうだ。明日から早速初任務だから様々な人に逢うかも知れないんだ。と言っても構成員が殆どだけれどね」






『そうなのか…それじゃあ挨拶しないと、ね』







「！……そう、だね」






『？』





太宰君が少しだけ言葉を濁した気がするのは気の所為だろうか…？

［十五］訓練場での出逢い。→←［十三］幹部の家でお茶タイム。

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