番外編!その4 ページ13
ガチャ、と音を立てて扉を開いた。
敦「…芥川」
芥川は何時もの仏頂面で此方を振り向いた。
芥川「…何故貴様が来た」
敦「太宰さんに言われたんだよ」
それを聞くと芥川は「成程…矢張りあの人か…」と少し落胆した様に呟いた。
芥川「何の用だ」
敦「ハロウィンだし…ほら」
そう言って手に持っていた物を投げる。
芥川は見事にキャッチし、手の中の物を見ると此方を驚いた様に見つめた。
芥川「人虎…貴様これは…」
敦「お前、無花果が好物だって聞いたから…余り物だけどな」
僕があげたのは無花果味の小さな飴だった。
芥川「……ふん、貴様からの贈り物など心底要らぬが…今日はハロウィンだ。仕方無く受け取ってやる」
敦「お前にお礼なんて言われなくとも十分だ」
2人して顔を背ける。
敦「……お前さ、凄いよな」
芥川「…?」
敦「何時も何時も頑張っててさ、毎日の様に皆より早く来ては沢山練習して…辛くないのか?」
芥川「……
敦「…」
芥川「太宰さんは僕にとって師であり、先輩であり、憧れだ。
…だからこそ、その太宰さんを負かせる位に練習しなければいけない。
…だから練習している、それだけだ」
敦「…矢っ張り強いな、お前って」
芥川「…貴様に言われるとは心外だ」
敦「だろうな。…じゃあ、そろそろ僕は行くよ」
芥川「待て人虎」
敦「…?」
芥川「…その…飴、有難うな。それと…こんな話が出来るとは思わなかった」
敦「!…ははっ、それこそ心外だよ。うん、じゃあまたな」
僕はそっと扉を閉めた。
彼奴も彼奴で…強い思いがあるんだな。
何だかんだ、彼奴も頑張ってる。
それなら、僕は彼奴を超えられる位、沢山練習しないとな。
そんな覚悟が芽生えたのだった。
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あっぴー - 私はホルンやってます。あるあるすごい共感しました合奏とかで音はずすとよく先生ににらまれます… (10月29日 18時) (レス) @page15 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
Hiro(プロフ) - 指揮棒折れるのわかります!と言ってもうちの学校棒ないんで金属の棒で叩いてそれが曲がるんですけれど。初コメ失礼しました (2021年12月8日 6時) (レス) @page21 id: 86439a7187 (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ/紅花(プロフ) - koiさん» コメントありがとうございます!おお、私の好きな楽器← 私もチューバなのでよく言われて苦労していました…(^_^;) 共感して下さる方がいて嬉しいです♪ ありがとうございますm(_ _)m (2018年9月17日 8時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
koi - お初です!私はユーフォやってます!4話目の中也がアンブッシュアで悩んでいる場面を見て、私もよく、アパーチャーが空いてないとか注意されているので親近感がわきました!更新頑張ってください! (2018年9月16日 19時) (レス) id: 86e16ba69c (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ/紅花(プロフ) - 楓さん» コメントありがとうございます!宝島!懐かしい…あのアルトサックスのソロカッコいいですよね〜聞いてて凄く憧れてました笑 (2018年5月3日 16時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くれーぷ | 作成日時:2017年10月26日 9時