それでも、何かが変わるわけではなく。3 ページ10
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鞄から、教科書を出して。
とんとん、と隅をそろえた後、
机の中にしまう。
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時間割を見て、
1時間目が体育なのを知って、
ちょっと、テンションが下がる。
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「・・・鈴森さん、」
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掛けられた声に振り向けば。
さっき、自分の席に着いた江波戸くんが立っていて。
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「ん？」
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首を傾げれば、
差し出された水色のノート。
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「数学・・・僕ので、よければ。」
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きゅ、とノートを握る江波戸くんの指に、
力が入ったのが分かる。
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「いい、の？」
「うん、どうぞ、」
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にこにこ、
ちょっと控えめな、可愛らしい笑顔。
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「ありがと、」
「うん、」
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頷いた勢いで、
やっぱり、ふわふわの髪の毛が、
上下に揺れた。
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「あ！それ！！」
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大きな声が江波戸くんの後ろから聞こえたのは、
私がノートを受け取って、すぐで。
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え？と声を上げれば、
白尾くんが、後ろに立っていて。
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「江波戸の、ノート？」
「うん、あ！待って！！」
「は？」
「貸してって、言うんでしょ？」
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白尾くんはなんだか、
私に容赦がない。
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「言うよ！だって、江波戸のだろ？」
「だめ！私が、借りたんだから！」
「はぁ？なんでだよ！」
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やだ！だめ！
って、言う私を、
面白そうに見つめながら、
声を上げる白尾くん。
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「(笑)」
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江波戸くんは、ふふ、と笑って。
自分の席に、戻ってしまって。
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「ほら!江波戸くん怒ってる！」
「怒ってねーよ！なぁ？江波戸！」
「え？あ・・・うん。白尾は、俺が教えてあげるよ、」
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にこにこ、
人の良い笑顔を浮かべて。
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江波戸くんは、
ね？と、白尾くんをなだめるように笑った。
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偶然が必然に変わる、確立を求めよ。→←それでも、何かが変わるわけではなく。2
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