可愛いカノジョと、可愛いカレ。2 ページ40
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お似合いだなぁ、と思う。
遠くから眺めるだけで絵になる2人は、
どちらも可愛らしくて。
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黒目がちの目が、
くるくると揺れる。
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優しい笑い声が、
狭い部室に響いた。
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「あの子何部なの?!」
「帰宅部です、」
「なんで江波戸くんと一緒にいるの!」
「好きなんじゃないですか、」
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柚子ちゃんと、牛丸くんの
謎の押し問答。
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「え、誰が?」
「西園寺椿が、」
「・・・誰を、」
「江波戸さんを、」
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江波戸さん黙ってればカッコイイですからね、
って、
褒めてるのか貶してるのか分からない牛丸くんの言葉。
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「でも、好きなだけで部室まで来るか?普通、」
「ぐだぐだうるせーな!俺が聞いてきてやるよ、」
「馬鹿!お前が行くと話がこじれるだろ!」
「はぁ?なんでだよ!」
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こっちでは、
赤岩くんと岡留くんの押し問答。
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話が纏まりそうもない皆の輪に入って、
こそ、と小さな声で囁く。
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「江波戸くんの彼女、」
「はぁ?」
「誰が?」
「あの子、」
「西園寺椿?」
「うん、」
「誰の?」
「江波戸くんの、」
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はあ?って、
口をあんぐり開けた、皆の顔。
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苦しいはずなのに、
哀しいはずなのに、
なんだかおかしくて、笑えた。
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可愛い彼女と、可愛い彼。
誰がどう見てもお似合いの2人に、
私が入る隙間なんて、これっぽっちもない。
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