愛して、愛されて、また愛して。4 ページ27
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「ううん、」
「だよなぁ・・・(笑)」
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はぁ、と小さくため息をついて。
そのあとに付け足された言葉は、
″でも、好きなんだよ″で。
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「赤岩がさ、すげーイイヤツだから、」
「うん、」
「顔は良いし、頭も良いし、優しいし。
・・・あぁ、野球は俺の方がうまいけど、」
「うん(笑)」
「だから、さ・・・。恨めないんだよ、」
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ふ、と
白尾くんが笑う。
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その、横顔が、
恋をしている横顔が、あまりにも綺麗で。
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「諦めようとか、そういうの・・・ムズいんだよな、」
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イチ、ニ、イチ、ニ
2人の元気な声が、なんだか遠くに聞こえる。
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「あの、さ」
「ん？」
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口を開いた私に、
白尾くんはきょとん、とした瞳を向けた。
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「無理に、諦めなくても良いんじゃないかな、」
「え？」
「だって、これから先の人生でさ、何人白尾くんは人を好きになるんだろうね、」
「・・・」
「その中の1人が柚子ちゃんでさ、
それが、叶っても叶わなくても、恋したことは事実なわけでさ、」
「・・・・・・・」
「次の人が見つかるまで、くらい・・・
好きでいることに、何の罪もないんじゃないかな、」
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落とした言葉は、
ふ、とアスファルトの地面に溶けていく。
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「白尾くんが柚子ちゃんの事を好きな気持ちを無理に止めるより、
自然と他に気持ちが向くまで、好きでいればいいんだよ、」
「・・・」
「白尾くんは、」
「・・・」
「それが、できると思うよ、」
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こちらを見た、彼と目が合う。
白尾くんは、ふ、と口許を上げて。
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「そうかも、な」
「うん、」
「考えたら、俺赤岩に遠慮する必要ないよな！」
「うん(笑)」
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頭は良いはずなのに、
単細胞な白尾くんがおかしい。
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くすくす、笑っていたら。
「風呂空いたぞ！！！」
大きく響く、岡留くんの声が聞こえて。
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素振りを辞めた2人と、
立ち上がった白尾くんと一緒に、
正面玄関をくぐる。
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「なんか、元気でた！」
「っふふ、」
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ロビーをくぐって、
階段を上る。
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「さんきゅ、鈴森、」
「うん・・・私、白尾くんのそういうトコ好きだよ(笑)」
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くすくす笑いながら、
手を振る。
女子の部屋は、反対側だ。
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「おう、じゃな、」
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光安くんと伊勢田くんと、
呼びに来た岡留くんにも手を振って。
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長い廊下を進んだ。
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