愛して、愛されて、また愛して。2 ページ25
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食堂の冷蔵庫に、
城徳から持ってきたスポーツドリンクが、
入っている。
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そこから、3本取り出して。
右手に2本、左手に1本持って立ち上がる。
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「鈴森さん、」
「ひゃ、」
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背後から掛けられた声に、
びくん、と肩を揺らして振り向けば、
江波戸くんが立っていて。
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「びっくり、したぁ・・・」
「あ、ごめ・・・驚かせるつもりは、なかったんだけど、」
「うん、」
「なに、してるのかな・・・って」
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自信なさげに揺れる瞳は、
彼のほうがずっと身長が高いはずなのに、
なぜか私を上目遣いで見て。
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「光安くんと、伊勢田くんがね、」
「うん、」
「素振り、付き合ってって言うから、」
「そう、なんだ・・・」
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食堂の奥から出て、
机が並ぶ外に出たら、
ふ、私の数歩後ろにいる江波戸くんが小さく息を吐いた。
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「あの、さ」
「うん?」
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くるり、と後ろを振り返って首を傾げたら、
彼は、ちょっとだけ俯いて、
小さな、小さな声で。
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「白尾は・・・」
「へ?」
「白尾は、いるの?」
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白尾くん?と素っ頓狂な声が出た。
それに、見当違いだと悟ったのか、
ひ、と首をすくめる素振りを見せた。
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「いないよ、探してるの?」
「や・・・なら、いいんだ。」
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ふるふる、と首を振った後、
じゃね、と小さく手を上げて、
私より先に、江波戸くんは食堂を出て行った。
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