″不思議″と共存するもの。 ページ22
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亀沢くんが、部活を辞めた。
・・・学校も、辞めた。
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ぽっかり穴が開いた野球部に、
田茂先生は一つため息をついた後、
堂学の敷地内での合宿開催を提案した。
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嫌だとか、面倒だとか、
樫山くんに至っては、
自分のスケジュールが崩されるのが嫌らしい。
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目的地に向かうバスの中でも、
駄々をこねていて。
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それを牛丸くんがなだめている会話を聞いていたら、
なんだか面白くて笑えた。
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バスから降りて、
一緒に積んできた練習道具を手に持つ。
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私に渡されたのは、
野球ボールが入った籠2つで。
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肩に鞄を掛けて、
両手に1つずつ、
籠を持って、宿舎があるという坂を上った。
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「鈴森！鈴森ー！」
「なに！」
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後ろから聞こえてくる声に、
振り向いたら、
野球バットを抱えた白尾くんがいて。
たたた、とこちらに駆けてきたと思ったら、
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「それ、貸せよ。重いだろ？」
「えぇ？いいよ、白尾くんも重そう、」
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肩に担いでるエナメルの鞄は、
練習着が入ってるんだろう、
重そうに膨らんでいて。
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首を横に振ったら、
あからさまに眉を寄せた彼は、
奪い取るように、籠の一つを手に取った。
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「っあ、」
「いーから。俺が持ちたいの！」
「・・・そう、」
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小さく頷くと、
に、と笑って。
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「お前、転びそうだしな、」
「ひどい、」
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む、と唇を尖らせれば、
白尾んは楽しそうに笑った。
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「江波戸！」
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そのあと、
坂の上から後ろを振り返って、
私の少し下にいる江波戸くんを呼ぶと。
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「なに？」
「江波戸も、鈴森手伝ってやれよ、」
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そう、言って。
今度は、柚子ちゃんの所に行って。
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何か、話しかけたのが見えた。
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″不思議″と共存するもの。2→←不機嫌の公式、可愛いの定義。5
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