不機嫌の公式、可愛いの定義。4 ページ20
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「江波戸くん、」
「え?」
「ふふ、可愛いね(笑)」
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確かに、江波戸くんが可愛いのは否定しない。
普通の、野球部員らしくない、っていうか、
男らしいけど、
どこか、中性的な部分があると思う。
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癖のあるふわふわの髪の毛は、
歩くたびに、ぴょこぴょこ揺れるし、
目を伏せたときに震える睫毛は、
他の男子と比べても、長いと思う。
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「そう、だね。確かに、」
「・・・」
「可愛いかも、」
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小さく、頷いたら、
柚子ちゃんははぁ、とため息をついて。
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「ま、がんばれ、」
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ぽん、と私の肩を叩いて、
なぜか、憐れみに満ちた瞳を私に向けた。
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「「ごちそうさまでした!」」
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皆が、食べ終わって少しした後に、
帰ろうかな、と
鞄を持って席を立つと、
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「帰るの?」
「ん?うん、家でカレー食べないと(笑)」
「そっか(笑)」
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くすくす、柚子ちゃんが
可笑しそうに笑った。
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「Aちゃん帰るって!送ってくるね、」
「は?樽見1人じゃ危ないだろ、俺も行くよ、」
「はぁ?!なんで白尾が行くんだよ、」
「樽見さんが行くなら、僕も・・・」
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白尾くん、赤岩くん、志方くんの順番で
一斉に立ち上がる。
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「ちょ、いいよ・・・それじゃぁ私邪魔者じゃん(笑)!」
「えぇ?でも、危ないし・・・」
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彼女が眉を潜めたのは、1瞬だ。
楽しいことを思いついたように、
にこにこ笑って。
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「江波戸くん!!」
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突然、呼ばれた彼は。
コップに入った水を飲みながら、
顔をこちらに向けて、
きょとん、と瞳を揺らした。
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「Aちゃんと方向一緒だよね?送ってあげて?」
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柚子ちゃんの言葉に、
江波戸くんはやっぱり、
きょとん、として首をかしげた。
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ふわふわの茶色い髪が、
サラリと揺れた。
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