検索窓
今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:287,189 hit

不機嫌の公式、可愛いの定義。4 ページ20

.

「江波戸くん、」

「え?」

「ふふ、可愛いね(笑)」


.


確かに、江波戸くんが可愛いのは否定しない。

普通の、野球部員らしくない、っていうか、

男らしいけど、

どこか、中性的な部分があると思う。


.


癖のあるふわふわの髪の毛は、

歩くたびに、ぴょこぴょこ揺れるし、

目を伏せたときに震える睫毛は、

他の男子と比べても、長いと思う。


.


「そう、だね。確かに、」

「・・・」

「可愛いかも、」


.


小さく、頷いたら、

柚子ちゃんははぁ、とため息をついて。


.


「ま、がんばれ、」


.


ぽん、と私の肩を叩いて、

なぜか、憐れみに満ちた瞳を私に向けた。



*




「「ごちそうさまでした!」」


.


皆が、食べ終わって少しした後に、

帰ろうかな、と

鞄を持って席を立つと、


.


「帰るの?」

「ん?うん、家でカレー食べないと(笑)」

「そっか(笑)」


.


くすくす、柚子ちゃんが

可笑しそうに笑った。


.


「Aちゃん帰るって!送ってくるね、」

「は?樽見1人じゃ危ないだろ、俺も行くよ、」

「はぁ?!なんで白尾が行くんだよ、」

「樽見さんが行くなら、僕も・・・」


.


白尾くん、赤岩くん、志方くんの順番で

一斉に立ち上がる。


.


「ちょ、いいよ・・・それじゃぁ私邪魔者じゃん(笑)!」

「えぇ?でも、危ないし・・・」


.


彼女が眉を潜めたのは、1瞬だ。

楽しいことを思いついたように、

にこにこ笑って。


.


「江波戸くん!!」


,


突然、呼ばれた彼は。

コップに入った水を飲みながら、

顔をこちらに向けて、

きょとん、と瞳を揺らした。


.


「Aちゃんと方向一緒だよね?送ってあげて?」


.

柚子ちゃんの言葉に、

江波戸くんはやっぱり、

きょとん、として首をかしげた。


.


ふわふわの茶色い髪が、

サラリと揺れた。


.

不機嫌の公式、可愛いの定義。5→←不機嫌の公式、可愛いの定義。3



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (252 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
260人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:*ブロニカ* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2014年9月28日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。