不機嫌の公式、可愛いの定義。2 ページ18
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「カレー下さい!」
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全員が、席に着く。
私は、カウンターに腰掛けて、
大きな声で注文をする皆を眺める。
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楓さんが、
カレーを頼んだ人数を数えて、
はいはい、と頷いた後、
私の方を向いた。
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「Aちゃんは?何にする?」
「えっと、じゃぁ・・・コーヒー、下さい、」
「はいはい、コーヒーね、」
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カレーと、コーヒー・・・
ぶつぶつ、言いながら、
キッチンに入った楓さんを眺めていたら。
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「鈴森、食わないのか?」
「うん、ウチも今日カレーなんだ、」
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後ろから掛けられた声に振り向いた。
学ランのボタンをひとつずつ外す、
白尾くんが目に入って、
カレーを頼まない理由を話した。
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ふぅん、と頷いた白尾くんが、
腹減るだろ、と
学ランのポッケから出した、
小さな何かを私に向かって投げた。
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「っわ、」
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反射的に伸ばした手の中に収まったそれは、
どうやら、
チョコレートの包みらしい。
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「おぉ、ナイスキャッチ(笑)」
「ありがと、」
「おう、」
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小さな包装紙を破ろうとしたら、
こっちを見てる、江波戸くんと目が合って。
何か声をかけようと、口を開きかけた時、
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「先輩、先輩!!」
「っわぁ、びっくりした。何?」
「英語教えてください!」
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光安くんが、
後ろから抱きつくようにそう言ってきて。
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「英語は、白尾くんが得意だよ、」
「えぇー、イヤです、」
「はぁ?嫌ってなんだよ!」
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私たちの会話を拾った白尾くんが、
ガタン、と椅子から立ちあがる。
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くすくす、
笑いながらそれを見ていたら。
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やっぱり、江波戸くんと目が合って。
首を、少し傾げたら、
ふ、とそれは私から外されて、
逸らすように、下に落ちた。
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