今日:24 hit、昨日:1 hit、合計:7,756 hit
小｜中｜大
10 ページ10
・
｢あぁ、疲れたわ…… ティモシー、お茶を淹れてくれる？｣
いくら父親とはいえ、この国の王に歯向かうような真似をしたのだ。神経は磨り減っている。
｢へーい｣
｢ティモシー！｣
カウィの鋭い声が響く。
｢あー！ もう分かったよ！ か し こ ま り ま し た ！A様！｣
カウィの教育の賜物か、ティモシーの数日前のギラギラとした野生のような雰囲気は消え失せ、今は城下にいるような野良猫のような雰囲気になっている。
ティモシーはその大きな体とは裏腹に、案外細かい作業が好きなようで、今もどこか微笑んでいるような表情を浮かべながらお茶を淹れている。
｢カウィやっぱり…… ティモシーを従者にしましょうよ。 ほら、お茶だって楽しそうに淹れているし……｣
私のその言葉にギョッとした後、カウィは叫ぶように、
｢あの顔のどこが楽しそうなのですか！？｣
と、小声で私に問い詰めてきた。
｢えぇ……？ 分からないの、カウィ｣
｢はい、全く｣
｢ほら、微笑んでるわよ？｣
｢いえ、私にはしかめっ面をしているようにしか見えませんが｣
｢……まぁ、とにかく！ ティモシーを従者にする事、考えておいて頂戴｣
｢承知致しました……｣
少し不服そうな顔でそう言ったカウィ。
｢A様、お茶が入りましたよ｣
ティモシーがお茶の入った銀製のポットと陶器のカップをお盆に載せて持ってきてくれた。
｢えぇ、ありがとう｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
