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それからしばらくこれからの事をお父様と話し合っていると、ジェシーにもう我慢できないというように声を掛けられた。
｢私もお姉様とお話したいです！｣
｢……分かった、しばらく休憩を取るから隣の部屋で話していなさい｣
数分前からウズウズしていたジェシーの様子をお父様も気付いていたのか、すんなり彼の要求は通ったようだ。
｢お姉様こちらです！すぐにお茶とお菓子を用意させますね！｣
お父様の許可が取れた瞬間、私の手を取って部屋から出るジェシー。
｢聞いてもらいたい事が沢山あるのです！勿論お姉様のお話もお聞きしたいし！｣
ズンズンと歩きながらそう言うジェシーに愛おしさを覚え、微笑みを浮かべながら可愛い弟の後ろを着いて行った。
｢……お父様からお聞きしました。今私が読み始めたあの本を、お姉様は五歳の頃に読み終わっていたと｣
お茶とお菓子を用意してもらい、一息ついた後にジェシーがそう切り出した。
｢確かに、あなたと同じくらいの時に読み終わっていた気がするわね｣
｢やっぱりそうだったんですね……｣
昨日の誕生祭の為に短く切り揃えられた白髪を左右に揺らしながら絶望したようにそう呟いたジェシー。
｢……でも、あなたの後継者としての勉強はまだ始まったばかりじゃない。私はお父様とお母様の第一子として、お父様の補佐をする為に早くから勉強をしていただけよ｣
ジェシーを励ます為にそう言葉を掛けた。
｢……でも、バトラお姉様も勉強をしていたんですよね？｣
｢えぇ、王族としての最低限の教養はバトラだって身につけているわ｣
そのお陰か、バトラの社交界での評価はまだデビュタント前にも関わらず私よりも高い。
日々貴婦人達の開くお茶会に参加しているからだ。
｢私は病弱で、Aお姉様のように勉強に励む事も、バトラお姉様のように人脈を作る事も出来ませんでした。そんな私が、お父様のような偉大な王になれるのでしょうか？……怖いのです。昔話の王のように、偉大な王位をこそ泥に奪われてしまうのが｣
膝の上で握りしめられた拳が震えている。
私はその手をそっと握り、ジェシーに伝わるようにゆっくりと話した。
｢大丈夫よ、何も心配する事は無いの。勉強はこれから頑張ればいいし、人脈だってアカデミーで作れるわ。……それに、昔話では優秀な宰相が王位を守ったじゃない。きっとあなたにもそんな人が現れるわ｣
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