17 ページ17
・
｢A。A！｣
少し寝てしまっていたのかカリムに身体を揺さぶられて目を覚ました。
｢カリム……？｣
｢ティモシーはもう行ったのか？｣
｢えぇ、三週間休ませるわ｣
｢そうか。……部屋まで送る｣
差し出された手を取って、有難く部屋まで送ってもらう事にした。
｢……ここまででいいわ。送ってくれてどうもありがとう｣
｢いや、部屋まで送らせてくれ。今のAを一人にはできない｣
｢……ジャミル。貴方の主人を持ち帰ってもらえるかしら？｣
ずっと後ろに控えていたジャミルに頼むが、ジャミルはその場に立ったままだった。
｢いや、それは……｣
｢ジャミル｣
｢……承知致しました。ほら、帰るぞカリム｣
｢うわぁ！引っ張りすぎだ！……っA！帰ったらすぐに手紙を送るから！返さなくてもいい、でも絶対読んでくれ！｣
約束だからな、とジャミルに引っ張られながらカリムは私に言った。
｢ええ、楽しみに待ってるわ｣
私はそう言って彼らを見送った。
翌朝、目を覚ますと部屋には何通かの手紙が置かれていた。
｢これはカリムと……バトラとジェシーからも来てる｣
三人とも私のことを心配してくれているのだろう。
三者三様の封筒を胸に抱きしめ、手紙を読み始めた。
……
A様へ
ちゃんと寝られたか？
カリム
……
お姉様へ
王宮生活は退屈でしょうから、是非私の宮に来てください。
お返事お待ちしております。
バトラ
……
お姉様へ
大好きなお姉様が一刻も早くお元気になりますように。
ジェシー
……
そんな短い手紙だったけれど、それぞれの私を心配する気持ちが届いて胸がいっぱいになる。
｢……私も、私が出来ることをしなければ｣
クローゼットからドレスを取って着替え、ドレッサーの前で身なりを整える。
髪を結い、ピアスを着けた。
｢……よし｣
無事だった侍女達に会いに行こうと部屋のドアを開けると、そこには屈強な身体を持つ王国騎士団の騎士達が立っていた。
｢A様、申し訳ありませんが国王陛下より貴方様を部屋から出すなと言われておりますので｣
ドアの前にいるであろう騎士達の中で最も位が高いであろう騎士が私にそう告げる。
｢侍女に会いたいのだけれど？｣
｢申し訳ありません、出来かねます｣
｢どうして？彼女達は私の手足と同じなのよ？自分の身体に会いに行く事を禁じられるなんておかしいわ｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
