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｢＿＿＿バトラ？｣
妹を探して城の中を歩けば、案外すぐに彼女は見つかった。
｢A様。申し訳ありませんがバトラ様は子爵とお話中でして……｣
彼女の専属騎士に足を止められる。
｢なら、話が終わるまでここで待たせて頂けるかしら？｣
遠目からバトラの姿を見ると、どうやら泣いている所を子爵に慰めてもらっているようだった。
｢……たし……知らないままで……｣
｢そんな事……分かっていますよ……貴方の素晴らしさ……｣
二人の会話が少し聞こえてくる。
｢＿＿＿貴方にも、女王になる権利はあるのです｣
しばらく経ったあと、子爵がバトラをそう唆す言葉が聞こえた。
｢っ、それはどのような意味を持って仰ったのかしら！｣
もう我慢ならないと、専属騎士の大きな身体を避けて二人の元へ歩いて行った。
｢おっと……これはA王女。どのような意味も何も、私は真実をバトラ様に伝えただけですが？｣
ニヤニヤとした表情を浮かべて、そう言った子爵。
｢失礼。妻を待たせておりますので私はこの辺りでお暇致しましょう｣
｢……っ待って子爵！｣
会場へ戻ろうとした子爵をバトラが引き留めた。
｢……なんです？｣
｢……今言った事は聞かなかった事にするわ｣
｢……おや、それは残念だ。しかし、気が変わる事もございましょう、その時はすぐに私めをお呼び頂けますよう｣
そう言い残し、子爵は会場へと戻って行った。
｢……バトラ｣
｢なぁに？お姉様｣
｢その……ジェシカの事だけれど｣
姉として不甲斐ない。
バトラの、お父様譲りの緑の丸い目で見つめられると言葉に詰まってしまう。
｢……私は気にしてないわ。それよりもお姉様よ｣
｢……え？｣
予想外なバトラの言葉に驚く。
｢今までずっと次期女王としてお勉強されていたでしょ？それなのに……｣
｢バトラ、私の事なら大丈夫よ｣
｢ふふ、なら私たち二人とも大丈夫なのよ｣
｢……そうね｣
ずっと幼いままだと思っていたバトラも大人になったのだ。
そう思い、私たちは笑い合いながら会場へと戻った。
｢＿＿＿っA様！どこへ行っていたんですか！？｣
会場へ戻れば、そうティモシーに問い詰められる。
｢ごめんなさい、バトラを探しに行っていたの｣
｢A様の宮に賊が押し入ったらしい。今状況を把握してる｣
｢＿＿＿え？｣
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