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パーティーも中盤に迫った頃、ようやくジェシカがお父様に連れられて入場した。
咳払いを一度した後にお父様は話し始めた。
「国民の皆に報告する事がある。 まず、この国の後継者についてだ。
現在、第一王女のAは私の公務の補佐を務めているが、これを解任する事とする」
"えぇ、それって……"
"バトラ様が後継者になるのかしら……?"
来賓の方々がざわめき始めた。
「A…… 何か聞いてるか?」
隣にいるカリムに耳打ちをされたものの、何も返せないでいる。
ジェシカももう随分と大きくなり、王女として通す事はこれから難しくなるとは思っていたけれど……
まさか、今日だとは思わなかったわ……
「静粛に! そして、我が熱砂の国の時期王を第三王女…… 否、第一王子のジェシーとする」
"第一王子!?"
"バトラ様はどうなるのかしら?"
「ジェシカ様が第一王子!?」
隣のカリムも驚いている。
それもそうだろう。 今のいままでずっと王女だと思って関わっていた人間が王子だと言われたのだ。
それに、ジェシカは可愛らしい見た目をしている。 お父様譲りの大きな緑色の目に、お母様譲りの綺麗な白髪。
まつ毛は長く、まとまっていて、瞬きをする度に星が生まれるようにジェシカの周りが輝くのだ。
「……っ!」
何も知らされていなかった事に怒りを感じているのか、身体を震わせながら会場を去って行くバトラの姿を追う。
「カリム、私少しバトラと話して来るわ」
「……あぁ、分かった」
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