婚約破棄ルート一択【twst🦂】 (ページ13)

今日:2 hit、昨日:29 hit、合計:7,763 hit

13 ページ13

・

｢＿＿＿第一王女A様、婚約者候補カリム・アルアジーム様、ご入場！！｣

　その声の後、重い扉が開かれた。

　大きな部屋の中央で沢山の人に囲まれているバトラの姿を発見した。

"見て、A様とアジーム家の長男"

"あらあら、お似合いのお二人ですわね"

"でも私、夕焼けの草原の第二王子のレオナ様も捨て難いわ"

"貴方が結婚する訳ではないでしょう？"

　ご婦人達の話し声が聞こえてくる。

"チッ…… たかが商人のアジーム家が直系の王族と婚約するとは……！"

"まぁまぁ、まだ決定している訳ではありません。私達は気長に待ちましょう？"

"あぁ、夕焼けの草原の第二王子に賭けるか"

"賭けるなんてとんでもない！ただ王に助言をするだけに留めましょう"

"……そうだな"

　こっちは家長の男性方の声だ。

｢皆、オレたちを見てる｣

　少し気分が高揚しているのか、頬を赤く染めながらそう囁くカリム。

｢品定めって所ね。今日はレオナ様がいらっしゃらないから……｣

｢その分、オレが精一杯エスコートするぜ？｣

｢……えぇ、お願いねカリム｣

｢あぁ、勿論だ｣

　カリムはそう言うと、私達に近づく来賓の貴族と挨拶を交わしていった。

"A王女、カリム様。お久しぶりでございます"

｢えぇ、久しぶりね男爵。ご令嬢はお元気？｣

"えぇ、それはもう！今週もバトラ様にお呼び頂いて遊びの相手をさせて頂きました"

｢男爵家のご令嬢が来てくれてから、あの子も更に明るくなったわ。これからも励んで頂戴とご令嬢にお伝えして｣

"えぇ、えぇ！勿論でございます！では私はこれで……！"

"A様！"

"A王女！"

　男爵との会話が終わっても次々と話しかけられて、私達よりも先に入場しているバトラの姿が見えなくなってしまった。