if... 2013 〜広島V2記念作品〜 6

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岳人、ほんと大人っぽくなった。


髪の色が変わっただけじゃない。


岳人｢……前にさ、青くんのことずっと好きって言っとったじゃん｣


A｢うん｣


岳人｢最近青くんとどうなん？｣


A｢……言わない｣


青ちゃん噂されるの嫌いだし、好きな人いるなんて勝手に言っていいのかも分かんないし。


岳人｢上手くいってはないよね？｣


A｢まぁ……｣


岳人の手が膝に乗る。


くすぐったいけど、安心する。


岳人｢頑固じゃん、Aって。青くんじゃないとダメって思い込んでない？｣


A｢……そうなのかな……｣


岳人｢ずっと気になっとった。Aっていつも青くんのことで泣いとるもん｣


A｢……ごめん。でも今は違うよ？それだけじゃなくて色々……｣


岳人｢なんで謝るん？｣


岳人の声が少しキツくなる。


眉間にもシワがよって、怖い顔になった。


岳人｢A慰めるのなんか普通じゃん！俺、森脇くんの24番継いだじゃん！｣


……なんの話？良太？


そういえば開幕前にもそんなこと言って面白いキャラ目指してたっけ？？


岳人｢……ごめん｣


A｢どーしたの？｣


俯く岳人の頭を撫でた。


岳人は私の膝に置いた手にうつ伏せると、ポソポソと続ける。


岳人｢早く森脇くんみたいになりたい｣


A｢や、やめてよ縁起でもない！｣


岳人まで浦和に行くなんて絶対に嫌！


岳人｢……バーカ｣


A｢なんで！？岳ちゃん、ちょっと契約！岳ちゃんの契約年数ってどうなってんの！？｣


慌てて岳人の顔を起こそうとすると、今度は手に顎をついて私を見上げる。


岳人｢5年｣


え？


ご……？


岳人｢青くんと同じ。5年契約よ｣


A｢……うそ？｣


岳人｢ほんと。ねぇ、俺が森脇くんみたいになりたいっていうのは……｣


岳人が何かを言おうとする前に、岳人の肩を押した。


岳人｢！｣


後ろに仰け反ったのを見計らってこたつからぴょんと降りると、岳人の腰にしがみつく。


何がこんなに嬉しいのか、どうしてこんなに何もかもがスッキリしたのかは分からない。


涙が止まらない理由も、分からない。


A｢……がく｣


岳人の手が優しく、そっと抱きしめてくれる。


ぎこちなくて、優しくて、物足りないくらい柔らかい包容だった。

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