if... 2013 〜広島V2記念作品〜 6

39 chiba side ページ39

青山｢何でAって女と仲良くできんかね？｣


トシがグラスの中を見ながらAに突っかかる。


一刻も早くここから連れ出してあげないと、あの子が洋次郎達を連れて戻ってくる。


A｢何、急に……｣


青山｢仲良くしたくなさそうじゃん｣


A｢そんなことないよ｣


青山｢じゃーテーブル移らんでいいじゃん｣


A｢う、うん……｣


ダメだ、追い込まれてる。


栞｢Aちんっ！改めて今日はありがとー！｣


助け舟のように挨拶回りに現れた栞ちゃんがAの首元に飛びついた。


A｢しーちゃん！ねー、しーちゃんほんと綺麗！｣


栞｢Aちんも今日何かえっちぃね！｣


A｢そうかな？｣


栞｢胸元隠してるのが逆にやらしーっ｣


……鋭い。


A｢そ、それより写真撮ろうよ！｣


栞｢私もそう思ってAちんのとこ来たんだよー！｣


拓磨｢撮りますよ｣


仲尾さんから借りたカメラをAから受け取る拓磨。


俺もトシも気を使って席をよける。


A｢拓ちゃん、ありがとう！｣


栞｢ねぇ、Aちんと千葉さんも撮ったら？せっかくお揃いなんだし！｣


A｢そーだよ！撮ろ、チーちゃん！｣


千葉｢おいで｣


Aを膝に乗せると、苦笑する拓磨と心配そうにトシを気にする栞ちゃんが目を合わせる。


A｢ここ座っちゃったらタイ見えな……｣


｢トシくん、連れてきたよ｣


洋次郎｢こんなとこでまで何やってんの、Aは(笑)｣


あ、この女のこと忘れてた。


膝に乗ったAを後ろから抱く。


千葉｢大丈夫｣


根拠のない言葉をかけたにも関わらず、Aはその手をぎゅっと握った。


A｢うん｣


｢ラブラブですね｣


無邪気なその笑顔と鈍感そうなこの雰囲気は確かにAに似てるかもしれない。


でも、計算されたものなのか心からそうなのかなんて、すぐに分かる。


千葉｢栞ちゃん、友達あっちで待ってるよ｣


栞｢だ、大丈夫ですか？｣


小声で訴えかける栞ちゃんに頷いて向こうへやると、Aがありがとうと呟く。


Aのこういう優しさは、計算ではできない。


栞ちゃんと違って、この子にはAが心を開いてない。


Aは女の子と仲良くできないんじゃない。


無意識に、意地悪な子から自分を守る手段を持ってるんだ。

40 ryota side→←38

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す