if... 2013 〜広島V2記念作品〜 6

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涙目になっていく淳矢を見ると辛かった。


自分がやっていることを考えると、広島のスタッフ失格だ。


淳矢｢……さっきからどうしたの？何かあったの？｣


A｢お仕事の話してるだけだよ｣


淳矢｢Aちょっと変だよ……。俺の事試してるの？大丈夫だよ？約束したもん。帰ってくるって｣


淳矢は優しい。


その約束が、淳矢の足枷になってることにも気付けないくらいに。


A｢私は青ちゃんとラブラブだから平気だって！だからね、いつか……｣


しっかり、ふんばらなきゃ。


前かがみになった淳矢におでこを合わせた。


A｢いつか、また広島に淳矢が必要になるから、それまで淳矢は淳矢の輝けるとこにいてほしい｣


淳矢｢……誰がAにそんな酷い事言わせてるの？ヨコさん？織田さん？｣


青山｢お前だよ｣


後ろから、確信めいた声が聞こえる。


おでこが離れて目を閉じた。


作戦を、頭の中で整理しよう。


淳矢｢俺？｣


青山｢お前の弱さがAにこんなこと言わせるんでしょ。お前に徳島に行くって言える強さがあれば……｣


淳矢｢A、そうなの……？｣


泣かないで。


ユースのころからいつも私の味方だった淳矢。


怒られた時は庇ってくれて、凹んだ時は慰めてくれた。


今更だけど、やっと恩返しができるチャンスなんだ。


淳矢には輝いててほしい。


ここには絶対的ストライカーがいる。
　

淳矢には実力があるのに、ベンチで燻ってしまう。


淳矢｢青くんと、幸せなの？｣


目を開けると、淳矢は胸に私を抱きとめた。


淳矢｢俺はAにとって必要なくなったの？｣


不思議と、その声は優しかった。


A｢私は……｣


言葉に詰まると、青ちゃんが側に寄った。


青山｢Aは俺が幸せにする｣


頭の上に乗った手のぬくもりは、呆れるくらい虚しい。


淳矢｢……じゃあ俺もちゃんと考える｣


淳矢がどんな顔してるのか分からなかったけど、淳矢の胸から顔を上げられなかった。


今顔を上げて青ちゃんと目が合ったら、きっと青ちゃんがどんな顔してても泣いてしまうから。

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