DeFender 3

41 makino side ページ41

あの日以来、練習から帰ると必ずAが家で迎えてくれた。


1週間の期限はとっくに過ぎとったけど、誰にも何にも言われることはなかった。


A「マキ、おかえり」


槙野「おみやげ、イチゴのグミ」


A「……ありがとう」


槙野「何で笑うん？」


A「今度はブルーベリー……」


Aはころころ笑ってグミを俺の口に入れた。


槙野「ほんまじゃ！間違えた！」


A「前くれたのもね、言えなかったけどクランベリーだったんだよ」


槙野「あー、じゃけん俺に1つもくれんかったん？(笑)」


A「ごめんね」


そんな優しさも愛しい。


槙野「もー1個ちょーだい」


A「はい」


槙野「手じゃなくて、口でちょーだい？」


A「……マキは甘えんぼだね」


ブルーベリーでも美味いじゃん。


Aの口からもらったグミを味わうと、物足りんくなってくる。


槙野「A、来て」


A「うん？」


槙野「今度はこっちちょーだい」


A「……噛まないで」


槙野「Aイチゴの味するかねー？」


A「しないよ……」


槙野「あんだけ毎日イチゴばっか食ってたら、ちょっとぐらいしそうなのにね」


何回抱いても足りんかった。


それでも毎晩だとAだって不安になるじゃろーし、ぶち我慢した夜もある。


でも、そんな努力も辛くはない。


Aのことが大事じゃけん。


A「マキ……」


槙野「どしたん、そんな目して」


A「どんな目？」


槙野「さー？」


Aの服の中に手を滑らせる。


A「玄関……」


槙野「たまにはいいんじゃない？」


壁にもたれながら座り込んだAをしっかり支えながら、ブルーベリーグミを味わった。


槙野「あー。やっばい」


いつもと違った空気が玄関に流れて、妙に志気が上がる。


A「マキっ……」


槙野「いーよ、我慢せんで。恥ずかしくないけん」


A「でも……」


槙野「俺はそーゆー顔してくれた方が嬉しいよ？」


A「……変なの……」


ほんまにね。


Aを抱くようになってからの俺はおかしいよね。


Aがカメラを持って出かけんくなったこと、


毎週会っとった他のメンバーに連絡さえ取らんくなったこと、


部屋にかかっとった4色の鍵が引き出しにしまわれたこと。


全部気付いとるのに見んフリしとる俺は、最低じゃね。

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