32 makino side ページ32
槙野「……じゃけ何なんや」
A「私が普通の人間だったら、祐樹……祐樹も傷つけずに済んだ……」
槙野「今祐樹のことはいいじゃろーが！」
大声で萎縮させてしまったけど、ちゃんと守る自信があった。
槙野「何されたか全部話せ」
A「……っ」
槙野「どーせ片時も忘れられんじゃろ！？話せや！全部共有しちゃるけん！」
A「や……！」
槙野「嫌じゃない！お前のその馬鹿げた考え、根っから矯正するけん！全部話せ！！」
しばらく渋った後、Aは泣きながらゆっくりと話し始めた。
全ての始まりは、元々苦手で麻也と寝とった雷の夜に、麻也がおらんけんってその男の部屋で寝てしまったこと。
その夜のことで、ますます雷、それから暗闇が怖くなったこと。
下宿で男の部屋で寝るのはご法度だったけん、それをネタに何度も迫られたこと。
自分に非があったけん、誰にも言えんかったこと。
嫌だ、怖いと言えば言うほど、その男はAを求めたこと。
その男に言われた『お前が誘ったくせに』という一言が、ずっと忘れられんこと。
A「あの頃の私は本当にバカで浅はかで、あんなことになるなんて思ってもなかった。……友達だと思ってたから」
槙野「……」
A「私も悪かった……」
今までどんな思いで生きてきたんじゃろ。
麻也にさえ言えんかった辛い思い出を背負って、人と関わると誘ってしまうことを危惧して大人しく生きて……
今すぐにでも飛行機に飛び乗って、その男をぶん殴りに行きたかった。
床を殴った拳から血が滲み出る。
何度も床を殴りつけると、Aの両手がその拳を包み込んだ。
A「折れちゃう……」
号泣しながら拳を額に当てて両手で包むAを見て、俺まで泣けてきた。
槙野「……A、好きよ」
A「え……？」
槙野「Aも俺のこと好きじゃろ？」
Aは眉を下げて大きな瞳で俺を見つめる。
その目から涙が止まることはない。
槙野「過去に何があっても、今のAが好きじゃけん。過去は変えれんけど、これからは変えてあげられる」
A「マキ……」
槙野「例えばじゃけど、これからは雷の夜が好きになる方法もあるよ」
A「……どうするの？」
槙野「俺にキスして」
俺からはできんけん、ここだけはAが頑張ってや。
槙野「俺のこと好きなら、して」
Aが泣いとるのに指1本触れられんのは辛い。
早く、答えがほしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Hina*(プロフ) - ゆうさん» ゆうさん*ありがとうございます(*'▽'*)！キーリングかわいいですよー☆買おうかと思ったくらい(≧▽≦)完売で残念(@_@)トンちゃん、トンちゃん……ごめんなさい(T_T)苦笑 (2013年4月12日 17時) (
レス) id: 53ec674374 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - こんにちは。フェルトキーリング後から調べて見ます！やっととんちゃんのターンなのに、なんだか切ないですね。この先も展開していきそいで楽しみです！ (2013年4月12日 16時) (レス) id: ca43df3a4b (このIDを非表示/違反報告)
Hina*(プロフ) - さくらさん» さくらさん*こちらこそ、お返事ありがとうございます(*'▽'*)！マキに感情入れていただいて嬉しいです(T_T)4章でも是非是非よろしくお願いします!(^^)! (2013年4月11日 23時) (レス) id: 53ec674374 (このIDを非表示/違反報告)
Hina*(プロフ) - さくらさん» さくらさん*コメントありがとうございます(*'▽'*)！ここからまた一巡りも二巡りもしそうな展開なのですが、納得していただけるラストになるように頑張ります(^^*)これからもよろしくお願いします(*^^*) (2013年4月7日 12時) (レス) id: 53ec674374 (このIDを非表示/違反報告)
Hina*(プロフ) - るいぽんさん» るいぽんさん*ありがとうございます(>_<)！！長谷部さん、香川くんはプレー以外の性格的なところが分からなくて…(@_@)でも、せっかくご意見いただいたので、ブログとか拝見して勉強します(>_<)！嬉しいコメント、ありがとうございます(*^▽^*) (2013年4月7日 12時) (レス) id: 53ec674374 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Hina*
| 作成日時：2013年3月27日 22時
