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「みんな写真集買ってくれてありがとうね。
みんなに会えて嬉しいです。」
俺の言葉にみんなが喜んでいるのが見える。
「たくさんの方が来てくださって、僕サイン頑張るね。」
彼は僕をじっと見つめているみたいだ。
ふと、目が合ったのでウィンクしたら周りの子達がキャーという歓声をあげた。
彼はというと固まっているみたいだ、遠目だからよくわからないけど。
男の人がいないせいか彼はなんだか印象に残った。
サイン会は順調に進んでいた。
一列に並んでもらったみんなに、持参した写真集かこちらが準備した色紙にサインしていく。
サインしながら一言二言話したあと、握手して別れるの繰り返しだ。
緊張した面持ちだけど嬉しそうな顔、きっとみんな俺のためにおしゃれしてきてくれたんだろうな。
顔を真っ赤にしたり、興奮気味に話してくる様子に自分の人気を確認できて嬉しくなった。
でも、やっぱりたくさんの人数をサインし続けるのも疲れるわけで・・・。
終盤になると疲れてきた。
あと少しがんばれ俺！
自分を励ましていると列の終わりが見えてきた。
おもわず笑顔を浮かべてしまう。
女の子達が声をあげた。
その声に視線を向けると並んだ列に彼を見つけた。
彼は最後の方に並んでいた。
彼の番になった。
身近で見る彼は同業者かと思うほどスタイルも顔もよかった。
道理で彼は他の人からの視線を集めていたはずだ。
俺が笑いかけるとカチンと固まった。
そんな彼が微笑ましかった。
俺がサインしている間普通なら何か話かけてくるファンが多いのだが彼は黙り込んでいた。
おそらく緊張しているんだろうなぁ。
「お名前は？」
声が聞きたくて名前を聞いた。
「え、あ、コウジです。健康の康に数字の二です。」
「康二さんですね、いい名前ですね。」
俺はサインを彼の名前宛で書いた。
彼は俺が名前を呼んだことにびっくりした顔をした。
書き終わって彼に手を差し出すと、慌てて彼は自分の服で手を拭いた。
彼の手は思ったより大きくて冷たかった。
彼は両腕で俺と握手すると緊張した面持ちで言った。
「いつも応援してます！」
その後笑った。
笑った後慌てて手を離すと俺に一礼して去って行った。
なんだかかわいい人だなと思った。
俺より年上の男の人に抱く感想ではないだろうけど。
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作者名：まや | 作成日時：2024年2月18日 22時
