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「ね、美味しいでしょ？」
ラウールの楽しそうな顔。
かぶりついてみたものの緊張しすぎて味なんてわからんかった。
でも、きっと美味しかったんやろうと思う。
「おん、おいしかったで。」
このくらいの嘘は許されると思う。
ラウールがカッコよすぎるのがあかんわ。
近くにラウールがいるというだけで正直緊張してるのに。
でも、俺は今日は仕事でここに来てるんやからしっかりせんなあかん！
俺はさっき思いついた行動を起こすことにした。
「ラウール、はい。」
俺はドキドキしながらラウールに串を差しだした。
ラウールは一瞬びっくりした顔をしたあと嬉しそうに笑うとそれに食いつこうとした。
今がチャンス！
俺はその瞬間シャッターを切った。
やったで、俺。
さっきはラウールからのあーん、今回はその逆を撮ることに成功した。
俺は成功したことにホッとして差しだしていた串をそそくさとさげてしまった。
そこにラウールが食いつこうとして空ぶった。
「康二くん酷すぎる！！
せっかく康二くんからのあーんだと思って喜んだのに下げちゃうなんて。
やり直しを要求する！！」
ラウールがプンプンという擬音語が似合う顔で文句を言ってきた。
「だって恥ずかしいわ。
写真撮りたくてやってみたものの無理や。」
「いや、空ぶった俺の方が恥ずかしいでしょ！！
恥ずかしい思いさせたんだから康二くんやり直しはもちろんであーんって声に出してね。」
ラウールはにたりと笑うとそんなこと言ってきた。
「え、無理。」
そんな恥ずかしいことしたら俺死ぬわ。
「僕に期待させといてそんなこと言うんだ・・・
僕この後笑えないかもしれない・・・」
悲し気なラウール。
助けを求めてあべちゃんを見るといい笑顔で口がやれと言っている。
完全に見捨てられたわ。
俺も男や、一度やりかけたんやからやるしかないよな。
「・・・・ラウールあーん・・・・」
最初何も言わず串を差したしたのだが、ラウールはそれじゃ見逃してくれないみたいだから諦めた。
すごく小さな声になってしまったのは見逃してほしいわ。
「ごちそうさまー」
食べ終わった後はしばらく休憩することになった。
休憩中俺は自分の撮影したものを見ているとあべちゃんに手招きされた。
そこには気にもたれて昼寝するラウール。
俺は起きないことを祈りながらシャッターを切った。
一番の傑作かもしれない。
今回はこの辺で。
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作者名：まや | 作成日時：2024年2月18日 22時
