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「康二くん、康二くん大丈夫？」
気づいたらラウールに肩を揺さぶられていた。
間近にラウールの顔。
俺は慌てて距離を取った。
多分ラウールの携帯にキスを見て意識が遠のいていたのだろう。
だって、推しが自分の番号入れた携帯に嬉しそうにキスしたら意識も遠のくに決まってるやん！
「康二くん顔真っ赤、かわいい。」
ラウールが楽しそうに言いながら俺を抱きしめようとした。
きっと色々とバレバレなんやろう。
「ラウールそのくらいにしとかないと康二写真撮れなくなっちゃう。」
抱きしめようとしたラウールと俺の間に体を割り込ましてきたあべちゃん。
その通りかもしれんと思いあべちゃんの影に逃げ込んだ。
ラウールに抱きつかれたりなんかしたらキャパオーバーで気を失うかもしれん。
「え、あべちゃんズルーい！康二くんに頼られて。
でも、康二くんに写真撮ってもらいたいから今は我慢する。」
ん？今は？
余分な単語が入ってた気がするけど気の所為よな？
そんなことより、ラウールは俺と仕事がしたいとホンマに思ってるみたいやししっかりせんなアカン！
俺は気合を入れ直した。
「スタッフの人からは俺の好きに撮っていいと言われたんやけどラウール自体はどんなふうにしたいとかあるん？」
スナップ写真のイメージで撮って欲しいとだけ言われている。
「康二くんに任せるよ！
僕ね、康二くんの写真の世界に入ってみたいんだ。
康二くんの写真って康二くんの好きって気持ちが入っている気がしたんだ、風景でも。」
確かに俺は自分が心惹かれるものをよく撮っていると思う。
写すものが決まっていたとしてもそれが俺がいいと思えるように撮っている。
それが伝わっていることが、めっちゃ嬉しいと思った。
「わかった、俺の好きにさせてもらうな。」
多分俺今ニヤニヤしてるんやろな。
推しを俺の好きに撮れるなんて、贅沢すぎる。
悔いなんて残すの嫌やから俺の精いっぱいを出したい。
だってラウールはこれ以上ってないいい被写体だからそれを損なうなんてもったいないことは絶対したくないから。
それに俺はラウールのファンだからこういうラウールが見たいっていうのは今までめっちゃ妄想したことがある。
他のファンが見てもこんなラウールが見たかったと思わせるような写真が撮りたいんだ。
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作者名：まや | 作成日時：2024年2月18日 22時
