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席に戻ると早々に彼は名刺を差し出してきた。
「遅くなりましたが、私※※事務所の阿部と申します。」
慣れた動作で差し出す彼にスマートやなと感心する。
って、こんな場合じゃなかった。
俺は慌てて一応カバンに突っ込んでた名刺を取り出す。
「どうもご丁寧に。向井です。」
阿部さんの慣れた動作とは対照的に名刺をぎこちない俺。
ちゃんと肩書のあるしっかりとした名刺と名前と連絡先だけが載っている名刺。
いかん、比べちゃあかんわ。
「そんなガチガチにならないでくださいよ。
あ、俺もコーヒー頼んでいいですか?」
俺はすぐ頷いた。
阿部さんはクスリと笑うとメニューを見だした。
俺が緊張してるのわかって気をつかってくれたんやろな。
「ここのコーヒー美味しいですよ。」
「じゃあ、俺も彼と一緒ので。」
注文を取りに来た店員さんにさっと頼んだ。
俺は落ち着くためにコーヒーを一口飲んだ。
そして深呼吸をした。
俺が落ち着くのを待ってたのであろう阿部さんが口を開いた。
「早速ですが仕事の内容を説明してもいいですか?」
「はい、お願いします。」
「向井さんにお願いしたいのはタレントの撮影なんです。」
「えっ、タレントさんですか?
俺でいいんですか?」
「ええ、Rたっての希望なので。
タレントの撮影と言ってもそのタレントの会報の写真でラフな感じを考えてるので気楽に考えてもらって大丈夫です。」
タレントさんの撮影って大丈夫なんやろか?
俺仕事での人物撮影なんてチラシぐらいしかないんやけど・・・。
「不安そうですね。
俺も向井さんの写真集拝見しました。すごく素敵だと思いました。」
俺をじっと見て言ってくる阿部さん。
なんか照れる・・・。
「でも、なんで俺なんやろ?Rさんは俺の写真気にったって言ってくれてたけど。
あ、言ってくれてましたけど。」
つい関西弁出てしまったので言い直した。
「あ、向井さん関西の方ですか?話しやすい話し方でいいですよ?
今回の会報の写真はRが担当することになっておりましてRさんが向井さんを熱望しているんです。
向井さんさえよろしかったら受けてくださるとありがたいのですが・・・。」
そっか、Rさんが担当しているのか。
ホンマに俺でええんやろか?
「同じ年代みたいだし敬語じゃなくてもいい?」
阿部さんがいたずらっぽく笑って言った。
俺は異論はなかったから頷いた
あれ終わらない。あべちゃんはマネジャー設定です。
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作者名:まや | 作成日時:2024年2月18日 22時