誰も居ない ページ45
Aside
「・・・。」
階段を降りると、そこは先ほど居た上の階とは全く
違っていた。
ヒビ割れた壁からは水が染み出し、廊下を
濡らしている。
空気はかなり冷たく、まるで鍾乳洞にいるようだ。
この様子じゃあ湿度もかなり高いだろう。
べ「・・・。」
「・・・。」
私達はゆっくりと薄暗い廊下を歩いていく・・・
どこから敵が飛び出して来るか分からないからだ。
袋小路のこの地下で、敵はもう逃げられない・・・
そういう時ほど、人間は何をするかわからないのだ。
ピチョン・・・
ピチョン・・・
廊下に水が滴る音が反響している。
「・・・。」
私は壁のヒビから湧き出ている水を眺める。
たぶん、このビルは地下水脈の近くに建っているの
だろう・・・。
壁のヒビから染み出る水はそこから来ているのだ。
しかも、ここ最近この地域は連日で雨が
降っていたハズ。
だから余計に水漏れが酷いのだろう。
「・・・？」
廊下に溜まる水を見て思い出す。
確か、こういう地下施設には水を外へ排出するポンプが
存在すると聞いたことがあった。
まぁ、ここは廃墟となっているので、もしそのポンプが
存在していても稼働はしていないのだろう・・・
その結果がこの現状である。
べ「・・・！」
「・・・？」
そんな余計な事を考えていると、ベルが足を止めた。
何かあったのかと、私も前方を確認する。
しかし、
「・・・。」
そこは廊下の突き当りで何もなかった。
べ「・・・誰も居なくね？」
「・・・。」
誰も居ない。
どういう事だ？
ここに薬があるなら見張りくらいは居るはず・・・
まだ地下２階を見ていないが・・・
「・・・。」
何か嫌な予感がする・・・
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作者名：猫のこたつ | 作成日時：2019年7月20日 13時
