黒の組織（暗殺編） ページ48
部屋中を調べた結果、盗聴機と発信機の類いはなしだった。
(さて、この発信機はどうしようかな…。
あっ、洗濯機に入れて壊すか！)
洗濯機に放り投げると、ボタンを押す。
「よし、あとは‥」
スマホを取り出すと、実紗に電話をする。
［もしもし…］
「もしもし、組織に潜入できたよ」
［それは良かった！］
「でも、実は尾行されて発信機がついてたから壊しといた」
「あっ、ごめん‥その尾行って、多分うちのメンバーだから違うよ」
それを聞くと、スマホ越しに笑った声が聞こえてくる。
「はぁ！？先に言ってよ、それ！」
「言ったら、嫌がるでしょ？」
「それはそうよ！
このまま尾行されてると、動きづらくなるんだから！」
困った声で実紗が言う。
［絶対安全となると、これしかないんだよ］
「組織のメンバーに尾行がバレたらどーすんのよ！？」
［大丈夫…そんなミスしないから！］
「とにかくすぐに尾行を解いて、と伝えておいて！じゃなきゃ潜入調査やめるから」
［わかった。じゃあ、また‥必ず毎日連絡してよ］
電話が切れると、私はため息をつく。
翌日
組織の連絡があったため、また車に乗る。
「…幹部たちから連絡があった。
お前に会いたいそうだ」
「私が！なんで！」
「ああ‥任務内容は極秘らしいから直接会って話すそうだ」
廃墟ビル前に車が停車する。
車から降りて私は一人でビルの中に入っていく。
「…きたか」
男の声がビル内に響き渡る。
サングラスをかけた黒服の大男と銀髪の長髪の黒服の男が立っていた。
「あの……なんの用でしょうか？」
「お前が最近きた情報屋か？」
「はい」
「そうか」
そういうと、拳銃をこちらに向ける銀髪の男。
「えっ…」
私は思考が追いつかず、呆然としていると……
バンバンッ
銃声がビル内に鳴り響く。
私の腹部に銃弾が当たっていた。
「..うっ」
あまりの痛みに私はその場に倒れ込んでしまった。
(たすっ‥け、て…)
意識が遠退いていく。
男の足元が見えるが、それもだんだん消えていく。
女が息をしてないことを確認すると、去る。
男たちは建物から出ると、黒のポルシェに乗っていった。
車内では‥
「アニキ、女を殺す前に吐かせなくて良かったんですかい？」
メガネの男が運転しながらそう尋ねる。
「吐かせなくてもこっちで調べれば、すぐわかることだ。
それより、あの女が任務を成功させたらしいな」
「はい。本当なら任務失敗を口実にできやしたのに…余計なことを！」
「焦るなウォッカ‥任務成功だろうが、殺すことに変わりはねぇ」
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作者名：マヤさん | 作成日時：2023年6月12日 9時
