夜の深呼吸 ページ14
誰もが寝静まり返った夜、歩道橋の下から車が一台通り走る。
車の後ろ姿が次第に遠くなりながら、夜風が優しく肌に当たる。
歩道橋に立つ私の頭の中は任務の話でいっぱいだった。
(どうしてこうなったんだろう‥？)
一人、歩道橋にやってきた男は、私の後ろで歩みを止め、背後にゆっくり足を進める。
(なんだ、この人‥？)
離れようと歩こうとすると、向こうが話した。
「こんなところで何してる？‥"ミク"」
「っ！？」
後ろを振り向くと、その人は私の腹に拳銃を突きつける。私は、動かずに黙って男の話を聞いた。
「最近、俺のことをつけてるのは、お前だろ？
まさか、あんたが"調和"だったとは思わなかったぜ‥」
(っ‥こいつはやばい！！)
私は目線でできる限り男の顔を見ようとするが、やはりダメだった。
「そんなに顔が気になるか？
なら、冥土の土産に見せてやる‥」
「っ！？」
帽子を取ると、そいつはターゲットの松田 陣平だった！
(くっ…任務失敗だ！急いでエミカさんたちに伝えないとっ！！)
腹に突きつけられた拳銃から離れ、後ろに回り込み、拳銃をターゲットの額に合わせて撃った。
バンッ
「ハッ…！！」
〜♪
目が覚めると、朝になって、スマホのアラーム音が鳴る。
ベットから起き上がってパジャマのままだと確認すると、そこで夢だと自覚する。
スマホのアラームを消して、時間を見ると7時丁度。
一階のリビングで家族とテレビを見て朝食をとる。
「実沙そこのジャム取って‥」
「はい」
「サンキュー！」
いつものお兄ちゃんのやり取り。
「‥」
朝からソファーでゆったりと、テレビを見るお父さん。
そして、いつも必ず玄関の前までついてきて見送るお父さんとお母さん。
「休日なのに、大学あるの？」
「‥母さん、実沙が昨日 話したよ」
(今日は休日だった！それじゃお兄ちゃんもいるよね…)
「あ、そうだったわね！いってらしゃい」
「「いってらっしゃい！」」
笑顔で手を振る三人に、私も笑顔で出ていく。
「いってきまーす！」
9時ごろ‥警視庁前
(ここが警察本部！なんか緊張してきた‥)
持ってるカバンに手汗握りしめ、真っ直ぐ進む。
カードでかざしてゲートを通過すると、エレベーターで上がる。
(えっと…あった、ここだ！)
ガチャッ
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作者名：マヤさん | 作成日時：2023年6月12日 9時
