カオス班、集合！短編集！ (ページ1)

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斎の受難ページ1

「おーなかすーいたー…」

　呟きを掻き消す風は仄かにあたたかい。日差しの差し込む日曜日だった。

　―――日向ぼっこでもしようかな

そう思って息苦しい家を出てきたはいいものの、ぶらぶらしているうちに腹の虫が鳴きはじめた。
財布を取りに家に戻るのは面倒くさい。第一、今日は兄が家で勉強しているから邪魔はできない。

「どーしよっかなー」

　とりあえず見かけた公園に入り、ベンチに腰掛ける。
小さな兄弟が鳩にパンくずをやっていた。くるっくー、くるっくー、灰色の鳥たちが餌を求めて鳴く。

　斎の前世は警戒心の強い小鳥だ。と、本人(だけ)は言っている。
おかしな癖で、ビビると飛び立とうとするのだ。さながらトラックに蹴散らされる雀のように。
最近はやらなくなったが、小さい頃はよくそれで母に怒られた。
　だから多分斎は警戒心の強い小鳥の生まれ変わりなのだと、吹聴してまわった。

　所詮子供の戯言ではあったが、斎はその話をすると大人が笑ってくれるのが好きだった。

　時々あの鳥たちの言っていることがふっと頭に響いてくることもある。…ような気もする。