色 ページ12
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あの光景を見てから大寿くんに会うのが怖くなり、避け続けて約三ヶ月経った頃。時が経つのは本当に早い。今はまた寒い雪の降る季節になった
ちなみに大寿くんと鉢合わせするのも怖くて教会にすら行ってない。だがそろそろ私が、あのステンドグラスを見に行きたくなって……
大寿くんが祈りを捧げる時間に絶対に会わないように時間を少しずらして行ったはずなのに___
「……」
『……』
何故!?ボロボロの大寿くんが目の前に居るの!!嘘でしょ!?しかも柚ちゃんまで居るし!!それに大寿くんと目ぇあっちゃってるよ!?
「A?なんでここに」
柚葉が心配そうに私に聞く。だが未だに内心荒れに荒れていた
『あ、えっとお祈りに……』
ヤバいって!マジやばか!!どうやって誤魔化せばええんや……。と一人悩んでいるとずっと膝を着いていたボロボロの大寿くんが徐に立ち上がり
ゴソゴソとポケットから箱のようなものを取り出した。そして私の方へとやってきてそっと私の手のひらに箱を置いた
『え?これは……』
「オマエが何で避けてたのかは知らねぇ。だがこれだけは渡しておく」
避けてたのバレとった。そう思いながら渡された箱を開けると綺麗な雪の結晶がモチーフのバレッタが入っていた
「何が好きなのか分からなかった。オマエが冬の季節が好きだと言っていたからだ」
あぁ。この人は本当に私を喜ばせるのが……恋に落とすのが得意な人だ。だがあの女の人が頭を過ぎった
『でも、これはあの女の人に渡す物じゃ……』
「何言ってんだ?」
『付き合ってる人が居るんじゃ……』
「居ねぇ」
『え!?うそぉ!?』
ビクッと柚ちゃんと大寿くんは肩を揺らす。けど私は空いた口が塞がらなかった
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