返 ページ1
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私が東京にやって来たのは最近だった。母が父と離婚し、私は母の方に着いて行くと言った後、奈良から
母には何度も謝られた。けれど私は母は悪くないと思っている。それに何度も謝られてもそこまでいい気はしない。逆にこっちが申し訳ない気持ちになってしまう
私は引っ越してきてから一週間経ったくらいに、学校帰りに近所にある教会の礼拝堂に来ていた。冬なのも相まって暗くなる遅い時間に着いた
入ってみて見渡すぐらいに広い礼拝堂に胸が高鳴った。前に住んでいた所でも行った教会で見たステンドグラスが綺麗で、そこから少し好きになったんだっけ……
特に満月の夜の時に入って見る教会のステンドグラスは凄く神秘的だったのを今でも鮮明に思い出せる。そんな事をぼうっと考えていると足音がした気がして、振り返るとそこには背の高く少し怖い顔のお兄さんが立っていた
思わずヒュッと喉から音が鳴った。いや、悪気は無いんだよ??でもね、怖いの!!だって自分より遥かに高い背の人が背後に立ってたらビックリしない!?
私は焦って、何故か謝罪した後に慌ててその場から”去ろうとした”。しかし、有ろう事かそのお兄さんは私の腕を掴んだ
「オマエ……」
普通は私が驚く側なのにどういう訳か私よりお兄さんの方が驚いて尚且つとても寂しそうな顔をしていた。無意識に掴まれた腕にある手を握り、焦っていたのも相まって変な事を口走っていた
『大丈夫だよ?』
って、私は何言ってんだ!?と一人お兄さんの手を握った状態の中、頭はその事で埋め尽くされていた。でも、お兄さんは振りほどこうともせず、逆に手を握ってきた
「今まで何処にいた」
何処に居たって言われても、ずっと奈良に住んでたよ???とは口が裂けてもこのお兄さんには言えずにただ私は必死に目を逸らした
そしてやっとの思いで出た言葉が……
『あの、
「あ?」
あ。絶対にこれは地雷やったやつや……
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