終天に巡り逢うⅣ (ページ43)

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番外編９ページ43

『…おぎゃあ！！おぎゃあ！！』

は？？

自分の口から出た声に茫然としながらも、その泣き声…いや恐らく産声は止まることを知らず、ただひたすらに私の意思とは関係なく叫び続ける。

『おぎゃあ！』

いやいやなに？止まれよ？てかなにここ？夢？
混乱する私は殆ど目が見えなくて。何が何だか良くわからなくて余計に困惑する。

「奥方様！！しっかりなさってください！！」

聞こえる緊迫した声。

「くそ！早く治療を！！」

「もっと薬を投与しろ！！」

不穏なその言葉たち。

「栄様を呼べ！！はやく！！」

「はい！！」

怖い。

なんなの。

なにが起こってるの。

バタバタと走り回る音が聞こえる。でも何も見えなくて。なにがなんだか分からなくて。不安が私を襲う。

ーそっ

ふと触れられる、温もり。

「ああ…ようやく…逢えたわ…わたしの、」

酷く、優しい声が響く。

「ーーー！！」

「わた……の、…だい……、な…、…め…」

『ふぇっ、…おぎゃあ！！』

「ああ…、、、……わ…、…の…」

聞こえないよ。
なにを言ってるの。ねぇ、貴方はだれ？

ーピーーーーーー

「ーーー！！！！」

嗚呼、誰かの慟哭が聞こえる。

それは嫌に、リアルだった。

_________

______

意識が浮上して、ぼんやりとした世界を見つめる。

あの、女の人は誰だったんだろう。
ここはどこなの？

「とうさん、」

悶々と悩んでいると、まだ幼い子供の声が聞こえた。

『ぅあー』

「この子が僕の妹なの？」

「ああ、そうだよグレン。この子の名前はAだ」

「A…」

何かが頬に触れる。恐る恐るといったそれは、ぎこちない。
…あれ、グレンって名前、聞いたことあるな。

「…かあさんは、…Aを産んで、…死んでしまったの？」

え？

鈍器で殴られたような感覚。

「…そうだな」

なんで。

「かあさん、」

私がいるから、母親は死んだの？

なんで、

『、ふぇっ』

「、！」

『うゎぁぁぁぁぁぁぁん！！！！』

「どうしたんだ、A」

「っ、A？」

不器用な腕が私を抱き上げてゆらゆらとあやす。
小さな掌が私の頭をあやすように撫でる。
でも、そんなのは私には何の意味もない。
私に与えられた事実は、彼らから大切な人の命を奪って産まれたということ。

これは、夢なのかな。

夢なら早く醒めてよ。こんな悪夢。見たくないよ。

ねぇ、誰か。

誰か、母の命を奪って産まれた私を________

ーーーA！！