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最近は自由な時間も増え、屋敷も好きに出入り出来るようになった。ウルド様に一言言わなければならないが。
まぁ、なので、私はいま地上にある図書館に居る。
元々本を読むのは好きだ。ここには英語とラテン語、ロシア語の本が多くある。ラテン語はあまり出来ないが、英語とロシア語ならばなんとか読むことが出来るし、いざとなったら辞書もある。まぁ全部英語だけれど。
『…』
ぱらり、とページを捲る音が静かな図書館に響く。
本の内容は恋愛ものだ。ある男に懸想する女�，函△修涼砲�他の女(女�，凌突�)に恋する物語。よくある泥沼の三角関係である。
さして興味は無かったのだが、適当に取ったのがこれだったので読んでいる。中々の泥沼である。ダメだよな、女�，凌突Г鮃イ�になっちゃ。どうなるのかなんて簡単に予想出来る。しかもこの本はかなりあの…ヤバいやつである。ドロドロのデロデロである。正直、日本の本よりかなり描写がエゲツない。
「なーに読んでんだ？」
『あ』
ひょい、と本を取り上げたルクさんはそれを読んで可笑しそうに笑う。
「おまえ、この昼ドラに興味あんの？」
『いや、たまたま取ったやつがこの泥沼恋愛劇で』
「へー」
ぺらぺらと捲って目を通していくルクさんから視線を逸らし、単語等が書かれたノートをしまっていく。
「これで勉強か？」
『まぁなんか読んで語彙力でも増やそうかなって』
「ふーん。でもチョイスがちょっとなぁ…」
『それは私も思いました』
「ガキにはまだ早い」
『は？ガキじゃないですけど』
と、若干睨めばルクさんは笑って私の額を小突く。
「ガキだろ。こーんなちっこくて、弱っちいのに」
『は？チビじゃないんですけど。日本だと平均なんですけど。弱くないんですけど。人間の中では強い方なんですけど』
「はは。生意気だぞ」
くしゃくしゃと私の頭を乱雑に撫で回してくるので振り払う。
『もう。やめてくださいよ』
「光栄だろ？この俺に頭撫でられて」
『…いえ別に』
「可愛くねーなぁ」
と、ルクさんはまた楽しそうに私の頭を撫で回す。
はぁ…と息を吐いて、もう勝手にしてくれと無言で受け入れながら彼を見上げる。
『…』
変な感じだ。
こんな風に誰かに頭を撫でられることなど、世界崩壊後はもちろん世界崩壊前でさえ殆ど無かった。なのにそれをするのが感情が減衰している吸血鬼だなんて。
何を思って彼は私の頭を撫でているのだろう。ペットを愛でる感覚だろうか。
…あり得る。
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作者名：レイ | 作成日時：2021年5月2日 22時
