検索窓
今日:3 hit、昨日:88 hit、合計:9,127 hit

.(side:M) ページ10

遡ること数十分前。


俺はレインと一緒に、資料室へ向かっていた。




「いつもすまない」


「気にするなよ。全部一人でやってたら日が暮れるぞ?最近寮に戻った時のお前の顔、酷いからなぁ」


「…そんなにか?」


「ああ、人相がいつもの3倍は悪くなってる」




最近のレインは神覚者と寮長の仕事で、てんやわんやになっている。


加えて学業とくれば、まともに睡眠もとれていないだろう。


ここ数日の疲労によるウサギ吸いは、特に目に余るものがある。


心なしかウサギたちも迷惑そうな表情だった。




「だが、お前はお前でやるべき事があるんじゃないのか」


「俺?課題は終わらせてあるし、試験勉強は夜の自習時間にやるから─────」


「違う、Aのことだ」




レインからAの名前が出た事に、俺は少し驚いた。


普段のレインは、俺の彼女であるAの事を問題児認定しているため、あまり良く評価していない。


それゆえに、レインの口から彼女の名前が出てくる事なんて、説教の時ぐらいだ。




「明日は休日だ、どうせまた出掛けるんだろう」


「お察しの通りだけど…もしかしてレインも出掛ける予定だった?」


「そうじゃない。彼奴と出掛けるなら、お前もさっさと自分のやるべき事を終わらせて、明日に備えるべきだと思っただけだ」




驚いた。


それはもう、目から鱗というのはこういうことかと思うほどに。




「…なんだ、その顔は」


「いや、レインもそういうこと考えてくれてるんだなと思って」




一見気難しく、近寄り難いと噂される我が寮長。


でも実際は、思いを素直に伝えるのが少し苦手なだけで、こんなにも他人を思ってくれている。


俺はレインの不器用だけど心の内は優しいところが、人として、親友として大好きだ。




「お気遣い感謝するよ。だけど、俺はレインも大事だ。大切な親友が体調不良になる寸前まで我慢してるのは、流石に見過ごせない。他の寮生にも示しがつかなくなっちゃうだろ?」


「そういうものか…」


「そういうもの!だから素直に俺からの厚意は受け取っておきなよ、迷惑だなんて微塵も思わないんだしさ」




そうこうしている内に、資料室に辿り着いた。


お目当てのものを探して早く戻ろうと、資料室の取っ手に手を掛けようとした途端、中から聞き覚えのある声が聞こえてきた。




「A…とアオリオかな、この声は」


「喧しい…資料室だぞ、ここは」

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
70人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

竹駒(プロフ) - ゴリラパーティーさん» ゴリラパーティーさん、コメントありがとうございます!リクエストについては追って公開しますのでお待ちください…! (2月29日 14時) (レス) id: ec7e084a84 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラパーティー(プロフ) - ほんとにいつも喜んで作品読ませてもらってます(?)私なんかがリクエストなんておこがましいですがマックス先輩とのいちゃいちゃ?してほしいです!!返信はわざわざ送ってくださらなくても良いです!いつも見てます(今?って話ですよねすみません) (2月23日 11時) (レス) @page15 id: f1f12a25a1 (このIDを非表示/違反報告)
竹駒@土日祝更新遅め(プロフ) - 桜さん» 桜さん、コメントありがとうございます!マックス先輩の小説がないので、それなら私が…と書いてしまいました。楽しんでいただけているのであれば光栄です! (2月21日 22時) (レス) id: 7767493df5 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 貴方のお陰で私は生きていけます。ありがてぇ、ありがてぇ…!好きですぅぅあああッ (2月21日 3時) (レス) id: 16dfaae67e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:竹駒 | 作成日時:2024年2月16日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。