. ページ12
あの後、結局一人寂しく、用紙5枚をきっちり文字で埋め尽くした。
マックスが図書室に来たのは、それから少し時間が経った頃。
「待たせてごめん、思ったより長引いちゃって」
「別に平気だけど?マックスが来ないから、反省文は書き終わっちゃったし」
そう言いながら書き終えた用紙を見せると、マックスは数回瞬きした後、私の頭をゆっくりと撫でた。
「ち、ちょっと!私は別に撫でろなんて一言も─────」
「一人で頑張ったんだろ?偉いじゃないか、だからこれはご褒美」
「ご褒美って……」
優しく微笑みながら撫でられてしまえば、子ども扱いするなという言葉も喉で引っ掛かり、大人しく絆されてしまった。
誰しも、好きな人に撫でられて嬉しくない者はいないだろう。
「…レインの手伝いは?」
「もう全部終わった。夕食までの時間はずっと一緒にいられるよ」
「…!本当に?」
「ああ、本当」
私の頭を撫でていた手が離れ、マックスは私の隣に座った。
ここは図書室で、今現在も他の生徒が利用しているというのに。
マックスがこんなに近くにいるだけで、もっと寄り添って甘やかして欲しいという欲が、ふつふつと湧いてくる。
授業中だって隣にいるのに、放課後ってだけでこんなにも感じるものが違うなんて…。
「…ねぇマックス、あのさ──────」
「さて、じゃあ反省文がちゃんと書けているかどうかチェックしないとだな」
「………はぇ?」
思わず拍子抜けした声が漏れてしまった。
今まさに、私が彼の肩に擦り寄ろうとしたタイミングで。
私が擦り寄ろうとしたご本人様は、私の書いた反省文を片手に笑顔を向けている。
「な、なんで…私、ちゃんと全部埋めて……」
「レインから頼まれたんだよ。ただ用紙を埋めただけじゃなくて、ちゃんと内容が書けているか確認してやって欲しいって」
「書けてる!ちゃんと内容書いた!神にも誓える!」
「本当か〜?文法の間違いとか、誤字脱字があったら書き直しさせるからな」
私の必死の抵抗も虚しく、マックスは私の反省文に目を通し始めた。
1枚用紙を捲るごとに、彼の表情が険しくなっていく。
もう、不安でしかない。
「…うん、なるほど」
反省文を読み終えたマックスは、用紙をトントンと整えながら私に微笑んだ。
「一緒に書き直そうか、A」
「どうしてっ…!!」
私の声量を抑えた叫び声が、半径2mくらいまで響き渡った。
70人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
竹駒(プロフ) - ゴリラパーティーさん» ゴリラパーティーさん、コメントありがとうございます!リクエストについては追って公開しますのでお待ちください…! (2月29日 14時) (レス) id: ec7e084a84 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラパーティー(プロフ) - ほんとにいつも喜んで作品読ませてもらってます(?)私なんかがリクエストなんておこがましいですがマックス先輩とのいちゃいちゃ?してほしいです!!返信はわざわざ送ってくださらなくても良いです!いつも見てます(今?って話ですよねすみません) (2月23日 11時) (レス) @page15 id: f1f12a25a1 (このIDを非表示/違反報告)
竹駒@土日祝更新遅め(プロフ) - 桜さん» 桜さん、コメントありがとうございます!マックス先輩の小説がないので、それなら私が…と書いてしまいました。楽しんでいただけているのであれば光栄です! (2月21日 22時) (レス) id: 7767493df5 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 貴方のお陰で私は生きていけます。ありがてぇ、ありがてぇ…!好きですぅぅあああッ (2月21日 3時) (レス) id: 16dfaae67e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:竹駒 | 作成日時:2024年2月16日 12時