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『俺はレインの手伝いが終わったら行くから、先に図書室に行っててくれ』
マックスのご要望通り、私はアオリオと一緒に図書室にいる。
いるのだが……。
「先輩!勉強教えて貰いたいんですけど…!」
「アオリオ先輩!次、私もいいですか?」
「一人ずつ、一人ずつな…。A、悪いが席を外す」
「どーぞごゆっくりぃ〜」
人望も厚く、ファンクラブもあるアオリオは、後輩達に引っ張りだこ。
アオリオは我先にと押し寄せる後輩達を宥めつつ、席を離れた。
彼女なりの気遣いなんだろうけど、こうも人望の有無を見せつけられてしまうのは、なかなかキツい。
「…つまんないの、さっさと反省文書いちゃお」
レインから渡された作文用紙、計5枚をテーブルに広げてペンを執るも、肝心の筆が進まない。
さて、どうしたものか…。
「あ、Aさんだ」
「ん〜?…おやおや、マッシュくんじゃん。珍しいね、君が図書室にいるの」
頭上から気だるげな声が聞こえてきたと思えば、今年の神覚者に選ばれた1年生のマッシュくんの姿。
図書室は飲食禁止な事もあり、今は自前のシュークリームを頬張っていない。
代わりに何処かで食べてきたのだろう、カスタードクリームが口元に付着している。
「フィンくん達に勉強、教えて貰う約束があるんです。みんな何かしら用事があるみたいだから、後々合流するって」
「そっかそっか、まぁお隣座りなよ」
「うす、失礼します」
アオリオが座っていた隣の席へ促すと、マッシュくんは素直に椅子に座った。
「Aさんも勉強ですか、一人で」
「勉強というか…大半はレインから押し付けられた反省文の予定」
「なるほど、大変ですな」
「…そういうマッシュくんは勉強出来る持ち物、何一つ持って来てないみたいだけど?」
他人事のように見つめてくるマッシュくんに、気になった事を指摘してみる。
だって彼は、これから勉強会と言う割に教科書もノートも、ペンの一つすら持って来ていないのだから。
マッシュくんは暫し自分の両手を見つめた後、やがて真顔で頭を抱えた。
「やってしまった。勉強会で使うもの全部、部屋に置いてきてしまった」
「そんなことある??」
「僕取りに行ってくるんで。ちょっとだけど話せて楽しかったです、それじゃ」
そう言ってマッシュくんは、風の如く図書室を去っていった。
…神覚者ってやっぱり、変わった人しかいないな。
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竹駒(プロフ) - ゴリラパーティーさん» ゴリラパーティーさん、コメントありがとうございます!リクエストについては追って公開しますのでお待ちください…! (2月29日 14時) (レス) id: ec7e084a84 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラパーティー(プロフ) - ほんとにいつも喜んで作品読ませてもらってます(?)私なんかがリクエストなんておこがましいですがマックス先輩とのいちゃいちゃ?してほしいです!!返信はわざわざ送ってくださらなくても良いです!いつも見てます(今?って話ですよねすみません) (2月23日 11時) (レス) @page15 id: f1f12a25a1 (このIDを非表示/違反報告)
竹駒@土日祝更新遅め(プロフ) - 桜さん» 桜さん、コメントありがとうございます!マックス先輩の小説がないので、それなら私が…と書いてしまいました。楽しんでいただけているのであれば光栄です! (2月21日 22時) (レス) id: 7767493df5 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 貴方のお陰で私は生きていけます。ありがてぇ、ありがてぇ…!好きですぅぅあああッ (2月21日 3時) (レス) id: 16dfaae67e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竹駒 | 作成日時:2024年2月16日 12時