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「A、朝だ」
「うぅ……あと10分だけ寝かせて…」
アドラ寮のとある一室。
容姿端麗なルームメイトの凛とした声で、私は毎日朝を迎えている。
寝起きでぼやけている私の視界の端を、窓から入る陽の光を反射して、ふわりと銀色の毛束が揺れた。
「いい加減にしろ、遅刻しても私は知らないからな」
「やだ待ってアオリオ、起きる…起きるから…」
「寝汚いぞ毎日毎日、起こす方の身にもなれ………ローブを引っ張るな、ローブを」
漸く視界がハッキリとした頃には、身支度を済ませた困り顔のアオリオ・モレスの姿。
比べて私は寝起き、ネグリジェ姿のままである。
はて、今は何時なのだろう。
サイドテーブルに置いていた、私の目覚まし時計はというと…。
「あーーーッッッ!!また壊れてる!!なんで!?」
ベッドから少し離れた場所には、ネジやら部品が散らばり、見るも無残になっている目覚まし時計 "だった" ものの姿が。
寝相がとんでもなく悪い私は、無意識に目覚まし時計を壊す癖がある。
「寝ながらぶん投げてたの見たぞ。これで今月何個目だ?」
「5個目…二日間連続で壊してなかったから、今度こそいけると思ったのに…」
「…あと10分で私は出るが」
「待って待って!今急いで準備するから置いていかないで!」
今から顔を洗って歯を磨いて、着替え終わったら最低限の化粧と…朝ご飯は無理だから…!
「A、寮室から出るときは寮服を…」
「アオリオ何か言っ、…わぶッ!」
アオリオが何か言っていた気がするけど、寝起き直後の私の頭には響かなかったようで。
慌てて扉を開けて廊下に飛び出すと、勢い良く誰かにぶつかってしまった。
相手は私より体幹が良いらしく、ぶつけた拍子に鼻を痛めてしまった私は、鼻を押さえながらよろめく。
「誰かと思ったらAか〜。この慌てようだと、また寝坊したみたいだね」
「ま、マックス……と、レイン…」
ぶつかった相手は幸いな事に、同級生のマックス・ランドだった。
マックスの隣でどことなく呆れた表情を浮かべているのは、アドラ寮の寮長であるレイン・エイムズ。
「朝からマックスの目の前でこの醜態とは…蛙化現象とやらも時間の問題だな」
「レイン!?」
「慣れてるから平気だよ」
「マックスまで!!」
そう、私とマックスはアドラ寮ではちょっとした有名人。
世間一般でいう所の、お付き合いしている仲なのだ。
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竹駒(プロフ) - ゴリラパーティーさん» ゴリラパーティーさん、コメントありがとうございます!リクエストについては追って公開しますのでお待ちください…! (2月29日 14時) (レス) id: ec7e084a84 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラパーティー(プロフ) - ほんとにいつも喜んで作品読ませてもらってます(?)私なんかがリクエストなんておこがましいですがマックス先輩とのいちゃいちゃ?してほしいです!!返信はわざわざ送ってくださらなくても良いです!いつも見てます(今?って話ですよねすみません) (2月23日 11時) (レス) @page15 id: f1f12a25a1 (このIDを非表示/違反報告)
竹駒@土日祝更新遅め(プロフ) - 桜さん» 桜さん、コメントありがとうございます!マックス先輩の小説がないので、それなら私が…と書いてしまいました。楽しんでいただけているのであれば光栄です! (2月21日 22時) (レス) id: 7767493df5 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 貴方のお陰で私は生きていけます。ありがてぇ、ありがてぇ…!好きですぅぅあああッ (2月21日 3時) (レス) id: 16dfaae67e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竹駒 | 作成日時:2024年2月16日 12時