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結局あの後、じゃんけんで私が誰の部屋に寝るのか決め、私はうらたさんの部屋に寝ることになった。
「A〜…？」
「なんですか〜…？」
「なんかごめんね？」
「？なにがですか？」
「無理やりシェアハウス入らせちゃったというか……その」
「全然良いです！！むしろ嬉しいです！！！」
「そ、そう？」
「家出したはいいけど、どうせ行くところないし、もうどうすんだよって…そんなときに、坂田さんに声かけてもらって、本当はめっちゃほっとして、泣きそうで、だからフード取らなかったんです」
「もうあの家には、帰りたくなくて」
優しかった、美人で評判だった母が。
だんだん壊れていく。私に暴力をふるう。
あの、物が壊れていく音は、耳にこびりついて離れない。
いつも泣いていて、髪はボサボサで、布団に寝ていて、時には叫び。
「もう、見ていられなくて……」
“あんたなんかいらない！！！”
ああ、もう無理なんだって。
「意外に冷静だった自分が怖くて」
寒気さえした。
「もう、何なんだよ、って……ふぁ！？」
うらたさんが、抱き締めて、背中をさすってくれていた。
「よしよし、お前偉いな」
「は…」
「我慢してたんだろ。馬鹿だな。ここお前ん家から結構近いんだから、いつでも来てくれてよかったんだぞ？」
「で、でも…」
「悪いなんて思わなくていいから。あのな、人って我慢しちゃうと、いつか自分も壊れていくんだからな」
だから、泣きたい時は思いっきり泣いて、笑うときは思いっきり笑えよ。
「…ふ…っ……う…」
いつの間にか、自分でも驚くほどの涙が目から溢れ出していて。
「もう俺の服に鼻水つけてもいいから。新品だけど気にしないから」
「ぞれだめな"やづですよ"ね！？」
鼻水をかんで、うらたさんから離れようと、したのだけれど。
「あの〜…うらたさん？」
「何？」
「いや、何？じゃないんすけど……あの、離してください」
「やだ」
「何でですか……」
「Aいい匂いする」
ふんふん、と髪の匂いをかがれて、くすぐったくなってしまう。
「もうちょっとだけ、ね？」
「もうちょっとだけですからね！」
それから1時間ほどこの体勢で、こっそり覗いていた島坂船から説教を食らうのは、翌朝のこと。
「A足しびれた……助けて」
「知りませんよ」
「ひどお！？」
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作者名：さそりんご | 作成日時：2017年11月18日 17時
