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鬱陶しそうに前髪をかきあげてバサバサ頭を振った。心配そうな表情でわたしを振り返ったジェノの背中に手を置いてトントンしてあげた。
大丈夫だよ、ジェノ。
ジョンウは真っ直ぐな人だから。よく考えたら浮気なんてできるほど器用じゃないもの。
だからこそよく分からないんだけど。
「友だちが、初恋は叶わないって。
でも僕は、初めて恋に落ちたとき、もう二度とこんな感覚一生味わうことがないと思った。
叶うとか叶わないとかじゃなくて、ただ毎日見たかった。
…Aちゃんが夕焼けのオレンジ色の中で目を細めて笑うのを」
だから、
…だから毎日一緒に帰ってくれたの？
別れ際に夕陽の中で「バイバイAちゃんまた明日ね」って言ってくれてたの？
わたしはその期待にちゃんと応えてた？
あまりにも冷たい態度をとっていなかっただろうか。
ジェノの背中に置いた手に力が入る。
「この話、ジナと先生にしかしたことなくて。
Aちゃんのことを他の人に知られたくなかったの。僕だけの秘密にして、僕だけが安心出来る空間にしたかったの
中学生のとき先輩と付き合ったりしたのは、先生が僕は4人目に付き合う人と結婚するって言ったから」
黙って聞いていたジェノがビクッとした。
「ずっと付きまとってごめん
Aちゃんがもうやめてって言うなら辞める。
どっちにしろAちゃんは僕だけのAちゃんじゃなくていろんな人に大事にされるべきだって分かったから
最後に一言だけ、一応言っとくと、僕、今まで3人の人としか付き合ってないからね」
알겠지 ？(わかる？)ってわたしを見ながら首をゆっくり縦に振る。
その瞳に映っているのはどんな景色なんだろう。
今回の出来事で思い知ったけど、長い間一緒にいてもわたしはジョンウについて分かっていないことや知らないことがたくさんある。
もう少し一緒にいて、同じ視線で世界に立ってみたいと思った。
うん、って首を縦に振った。
ジョンウがパァァって表情を明るくしてわたしに優しく微笑んだ。
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作者名：mawol | 作成日時：2022年9月2日 19時
