守護天使、ストーカー、あるいは。 (ページ38)

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38 海へ漕ぎ出す vers.2 ページ38

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クスって目を細めて笑った。

ざっぱーーん。
360°四方八方からやってきた波が僕を囲って打ち寄せた。

僕の目はいつにも増してAちゃんしか写してなかった。キラキラして眩しくて、見ていると心臓が締め付けられる。どうしよう。このまま死んでしまうかも。

「早く行こうよ、ジョンウ」

振り返って僕を見る。
その動きと一緒に振り乱れた髪の毛が光を反射して輝く波みたいにキラキラ、全部がスローモーションで飛び散る水滴の一つ一つまで見えたような気がした。

Aちゃんが笑って、僕の後ろを指さす。

「ねぇ見てジョンウ、月が綺麗」

…どうしようか、
君の目に映る月がどれほど綺麗か分からない。だって僕の目には君しか映らなくて、あまりの美しさにほかのものは霞むどころか見えないのだから。

「…ほんと、いいかげんにしてよ…」

「…ジョンウ？」

僕の顔を覗き込むAちゃんの目にグッと顔を近づけてじっと見つめ返す。
ほんのりじわじわ赤くなる頬と潤んで揺れる瞳を見て、相変わらず心臓はうるさいけど、頭は冷静になれた。

「まぁいいや。帰ろう」
「え？」

手のひらが擦れないように優しく指を絡める。

今の僕にはこれが精一杯だよ。
僕が欲しいのは、Aちゃんの心と正式にAちゃんの一日の終わりを一緒に過ごすことができる権利。Aちゃんが僕にドキドキしてくれないと意味ないんだから。

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