19 シカゴvsワンコ ページ19
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インターホンが鳴って扉を開けたら、俺と同じくらいの背をした男が立っていた。
「どちら様？」
「Aはここにいる？」
「名乗ってもらわない限りは答えられないけど」
「キムジョンウ」
キムジョンウ…ジョンウ…
「Aのストーカー？」
目の前の男がひゅっと息を飲んだ。
「スっ、ストーカーだなんて」
「ストーカーだろ、小中高と学校の帰りを付け回して、今じゃ家にまで押しかけてる」
へぇ、とキムジョンウが目を細める。
「そこまで知ってるだなんて
まさかお兄さんとAちゃんがそういう関係とかいうわけじゃないよね」
「何のつもりで聞いてるか分からないし、答えてあげる義理もないけど」
「とにかく、Aちゃんは返してもらうから」
「なんで？犯罪に手は貸せないな。
巷で話題の不審者って、君のこと？
背が高くて髪が長いって」
「それを言ったらお兄さんもだけど
彼女でもない後輩を家に連れ込んで何してるの？」
あぁ言えばこう言うってまさにこのことか。
言い合ったりするのは得意じゃないけど、Aのことがあるし簡単に折れるわけにもいかない。
「あのねぇ、Aがここにいるかどうかは置いといて、どうしてAは君のもとを離れたの？それを考えてみた？
まず、君はどうしてAをストーキングしてるわけ？
自分のモノにもせずに、ただ誰のものにもならないように見張ってるだけ、」
わーっとまくし立てたら、意外にもキムジョンウは目を丸くして驚いていた。
「わお。
Aちゃんがお兄さんくらい勘が良かったら苦労しないんだけど
と、いうわけで察してくれてありがとうだけどAちゃんには手を出さないで
おとなしく僕に返してよ」
「嫌だって言ったら？」
「その心は？」
「Aは君じゃなくて俺を選ぶよ」
だって意味がわからないストーカーより、授業の面倒を見てくれて、家にも泊めてくれる格好良い先輩のほうがいいに決まってるよね、A？
なかなか他人に心を開かないAだけど、一度信用するって決めたら、躊躇なく懐いてくれて。
目の前のこいつがそのポジションに居座るまでどれくらい努力したかは分からないけど。
俺は、Aが手に入るなら、それまでの無償労働は厭わなかったよ。
「とにかく、もうここには来ないでね
きもいアプリは消しとくから」
キムジョンウのあっけに取られた表情が変わる前にドアを閉めて鍵とチェーンをかけた。
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作者名：mawol | 作成日時：2022年9月2日 19時
