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「今日さぁ、会えてよかった。」
「うん。
わたし、実はあなたに会えるかもしれない、って行ったんだ。同窓会。」
「そっか。
…俺に会えてよかったね。
俺は、Aが来るなんてさらさら思ってなかったけどね。」
「ごめんね笑」
「ほんとだよ。
ニューヨークにいると思ってたのに、写真に写ってるんだもん。
びっくりしすぎて、変な声出ちゃって、それにメンバーがびっくりしたせいでMV撮り直しになったんだから。」
「まじ？…ごめん。」
「いや、俺出ないカットだったから、大丈夫。」
居酒屋で声をかけられたときと同じような沈黙。
沈黙が気まずくない相手って、なかなかいないと思う。
今度は、わたしが先に沈黙を破った。
「テイラ。」
「うん？」
「わたしさぁ、…待っててもいい？」
わたしの言葉を聞いて、目を丸くしたテイル。
「あなたが、会いたいときにわたしに会いに来ればいいから。
…それを、待っててもいい？」
泣くつもりはなかったのに、視界が滲む。
また、無言。
だけど、テイルがそこにいる、っていうのはわかっているから、なにか話してほしい、とは思わない。
今日1番、長く続いた沈黙を破って、
「…当たり前じゃん。
Aこそ、ちゃんと待っててよ？
また、知らないうちにどっか行ったりしないで。」
そこまでは素敵だったのに、
「サラッと別れないとまずいから、ごめんね。」
帽子を深く被って、背中を向け、歩き出したテイル。
その背中が、小さくなるまで見送って、アパートの中に入ろうとしたとき。
『番号、変わってないんでしょ。』
『俺の番号、流出させないでね笑。』
『会いたくても会えないときの方が多いから。』
『ちゃんと、登録してね。』
『歌、聞いてくれてありがとう。』
『君の世界を、見せてくれてありがとう。』
急に送られてきた大量のショートメール。
つい、電話を返したくなっちゃったけど、そこはググッと抑えて、
『こちらこそ。』
と、短く返した。
わたしと、彼だから。
これで、十分なのだ。
.
My Everything ー끝ー
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2022.06.14.
テイルさん생축！
神様は乗り越えられる試練しか与えない論信者です。
絶望の中でも、腹は減り、夜は眠り、朝には目が覚める自分に呆れる毎日です。
彼らの音楽が救いになっていることは確かですが、
彼らの苦しみは？
音楽を通して覗けたらいいな…
という妄言でした。
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作者名：mawol | 作成日時：2022年2月17日 2時
