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自宅の最寄り駅で降りて、人通りの少なさにほっと胸を撫で下ろす。
「大丈夫なの？」
「何が？」
「その、マネージャーさん、とか、」
「あぁ。…さっき連絡しといた。」
…なるほど。
なんとなく、心が遠慮して、間に1人入れるくらいの隙間を空けて、並んで歩く。
「A。」
急にテイルが立ち止まって、わたしを呼んだ。
「うん？」
と振り返ると、
「Aの家ってこっちだったっけ？」
気付くの、今？
眉根を寄せて、首を傾げている様子が面白くて、思わず笑みがこぼれる。
「今、気付いたの笑？
駅から違うのに…笑笑。」
本気で気付いていなかったようで、絶句している。
「わたし、今はもう、実家は出て、社会復帰目指して鋭意努力中なの。」
「…社会復帰？」
全てを知っているだろうし、彼のことだからなおさら、そっか、くらいの反応が返ってくる、とばかり思っていたのに。
相変わらず、眉根を寄せたままのテイルに違和感を覚えた。
「…知らないの？」
「知らないって、何が？
俺は、Aがこっちに帰ってきてる、っていうのだって、ついさっき知った…」
ほら、と見せられたスマホの画面に表示されているのは、高校で仲が良かった男の子たちのグループトークのよう…
わたしは参加していないし、どういうこと？と思ったら。
「送られてきた写真に、Aが写ってたから。
今日、頑張って、来た…」
写真を拡大してみれば、男子数名がピースして並んでいる後ろ。
もはや背景なのだが、たしかに、奥の方に小さく写るわたしがいた。
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作者名：mawol | 作成日時：2022年2月17日 2時
